Fact sheet of 航空飲酒。パイロット? 客室乗務員? 整備士? 事案が多いのは結局誰なのか?
国土交通省航空局では半期ごとに航空輸送の安全に関する分析レポートを公表しています。
2019年以降、航空の飲酒基準(飲酒のルール、検知器使用の義務等)が出来たことにより、お酒に関するインシデント報告も義務化され、結果、具体的な課題や改善方向性が見えやすくなっています。
航空機乗組員の不適切な飲酒に係る一連の事案の発生を受けて設置した「航空従事者の飲酒基準に関する検討会」による「中間とりまとめ」(平成30 年12 月25 日公表)及び「航空従事者の飲酒に関する基準について」(平成31 年4 月9 日公表)を踏まえて、平成31 年1 月31 日から安全上のトラブルとして報告の必要な航空機乗組員の飲酒に係る不適切事案の範囲を拡大*(2)するとともに、令和元年7 月5 日から新たに客室乗務員、運航前整備を行う整備従事者、操縦士との通信を行う運航管理従事者の飲酒に係る不適切事案についても安全上のトラブルとして報告を求めることとしました。
※2 航空機乗組員が酒精飲料の影響で正常な運航ができないおそれがある状態で航空業務を行った事態は従前より安全上のトラブルとして報告が義務付けられていましたが、「航空従事者の飲酒基準に関する検討会」による「中間とりまとめ」を踏まえて、平成31 年1 月31 日から、
・航空機乗組員が酒気を帯びた状態で飛行勤務を行ったことが確認された事態
・航空機乗組員がアルコール検査を適切に行わずに飛行勤務を行った事態
・航空機乗組員が運航規程に定められている飲酒禁止期間内に飲酒を行った事態
についても報告を義務付けることとしました。
「アルコール事案」
飲酒関連は以下のような総括表として報告されています。「アルコール事案」という部分に注目ください。
昨年度は65件。パイロットなのか、客室乗務員なのか、整備士なのか、運航管理者なのか・・「アルコール事案」を引き起こした当事者ごとの件数が掲載されています。(アルコール検査に引っかかった件数ではなく、検査漏れや記録漏れなど、関連問題の総数です。誤解なきよう・・)
航空アルコール事案、分析すると・・
上記報告書の別冊として、「航空法第111条の4に基づく報告一覧」というものがあります。いろいろな安全上のトラブルが報告されている中に、アルコール事案も報告されています。社名もあります。
Fact sheet of 航空分野の飲酒インシデント
別冊のインシデント一覧から、4年分のアルコール事案をまとめてみました。
コロナ禍でしたが、一昨年75件まで増え、昨年度はやや落ち着き65件の報告が。
当事者別に見てみると、(不明件数が多いので何とも言えませんが)、客室乗務員によるインシデントが一番多いようです。運航管理者もそこそこ件数多いですが、「アルコールチェックやるの忘れた」がほとんどです。
報告書からは不適切の中身がよくわかりませんでした。一番多いのですが。実質、「漏れ」ではないかと推測しておりますが・・。
業務前が多い・・・いや 業務後もそこそこ多いようです。
みなさん、如何でしたでしょうか? 航空業界の飲酒トラブル。
意外? そうだろうな・・、どっちのご感想でしょうか?
内容を見ると、ほぼ「どう漏れ(検査忘れ)を防ぐのか」、「継続的な教育をどうするのか」、この2点に対策は絞られるのだと思います。漏れについては、自動車局でやっているロボット点呼のような制度が航空業界でもあらたに作られるかもしれません。航空業界も、アルコール検査に人員を割くには限界(費用、生産性)がくるでしょうから・・・。
上記186件、飲酒インシデント一覧表
データはこちらからダウンロードできます。ご活用ください。
(当社(東海電子)のお客様事案もあります・・が、公表情報なので、申し訳ございません、そのまま会社名を消さずにしておきます)