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身内に忖度なし 怒りの文書第二弾。知床遊覧船事故の数日前に起きていたことが明らかになるにつれ・・



知床遊覧船事故について、ある部分で、国土交通省内が揺れています。もしかしたら、今後大問題になるかもしれません。



JCI(日本小型船舶検査機構)とは



JCIとは

JCIは、船舶安全法に基づき昭和49年に国が全額出資した認可法人として設立され、小型船舶の安全検査を実施する国の代行機関として検査業務を開始しました。その後、平成14年から小型船舶の登録等に関する法律に基づく登録測度業務が、また、平成17年から海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づく原動機放出量確認等業務が加わり、小型船舶にかかる国の代行業務をワンストップサービスとして提供してきました。

また、JCIは、第二次臨時行政調査会の答申を受け昭和62年に国からの出資金を全額国庫返還する等の措置を講じ、いわゆる「自立の原則」に則った民間法人となり、以来国からの財政支援を受けることなく、国が定めた手数料による収入を主な収入源として自立経営を行っています。

とされています。クルマでいう、車検制度、検査を行う組織ですね。



運輸安全委員会→国土交通省→JCI


先般12月

https://transport-safety.jp/archives/15032

運輸安全委員会は、北海道運輸局とJCIに厳しい言葉をなげかけました。忖度なしで。


ところが、海事局、運輸局側には言い分があるようです。





海事局は、JCIの検査についてあらためて2点をあげています。


1)携帯電話をなぜ認めたのか?


② JCIの検査の実施に関する情報
JCIの資料によれば、JCIは、令和4年4月20日、本件会社より連絡手段を衛星電話(イリジウム)から携帯電話(au)に変更したい旨の希望が出されたことを受け、日本小型船舶検査機構の内規に基づき、第1種中間検査(令和4年4月21日結了)において、これを認めていた

運輸安全委員会 経過について(2022.12.15)
https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2022/keika20221215-0_2022tk0003.pdf


2)事故の二日前、ハッチはどうであったか?


① 閉鎖状態
2.9(3)に記述したように、本船の船首甲板部ハッチは、ハッチ蓋のヒンジが脆性破壊し、ハッチ蓋が外れて所在不明となっていた。また、ハッチ蓋を閉鎖して固定するための4箇所のクリップのうち、前方の2箇所は、本事故発生の2日前に実施された救命訓練においてクリップを回しても確実に固定できない状態であり、後方右舷側の1箇所は、クリップ止め部上面の摩耗状態から見て、クリップ止め部の下にクリップが掛からず、上滑りしていたと考えられる状態であったことから、ハッチ蓋は、本事故当日、クリップを回しても確実には固定できなかった可能性があると考えられる。また、何らかの理由でハッチが開けられ、クリップを止めずに航行した可能性もある

運輸安全委員会 経過について(2022.12.15)
https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2022/keika20221215-0_2022tk0003.pdf



今回の事故で、事業者側のずさんさとは別に、JCIに対する指摘がどんどん大きくなってきました。引き上げ後の浸水原因が進むなかで、ハッチのことが出てきたからです。

携帯電話をなぜ許可したのか? 浸水の原因はハッチ? ハッチを確認に不手際が? 



今回の海事局の「怒り」は、違うところにもあるようです。

船舶検査の実態は、想像以上に「ヒドイ」ものになっているのではないか? と疑いはじめたようです。


現場における検査実態について総ざらいし


妙に生々しい言い方に感じます。ふつうは「現場における検査方法について」だと思いますが、「検査実態」って・・。そして「総ざらい」という。


なんだかこんなふうに私には聞こえます。

9月以降の報告、ウソでしょ?
現場を知らなすぎる職員がやってるでしょ?
外注に丸投げしてない? 
まだ隠してることあるでしょ?


いや、こうでしょうか?

「裁判起きるぞ。ほんとうのことを今言わないと大変なことになるぞ」


 

被害の甚大さから、事故の数日前に当該遊覧船にかかわった北海道運輸局とJCIは、今後厳しい追求が行われるかもしれません。


JCIは、民間とはいえ、実質は国土交通省の退職者が理事をつとめています。実質、身内ってやつでしょうか。
海事局があてた「理事長」殿は







運輸安全委員会→国土交通省→JCI →「若者の海離れのせい」?

じゃあJCIの検査の実効性が不十分だとします。

実際、カンペキな検査をやれる体制にあったのでしょうか? 

中期経営計画書にはこんなことが述べられています。


①JCI の現状
JCI の検査を受けている小型船舶(以下「在籍船」)は、平成 29 年度末現在、特殊小型船舶を
含むプレジャーボート等約 23 万 6 千隻、小型兼用船・遊漁船約 7 万隻、小型漁船約 4 千隻、
その他約 2 万 8 千隻の約 33 万 7 千隻であり、全国各地に多数散在しています。
JCI は、平成 30 年 4 月 1 日現在、本部及び支部(全国 31 支部)に 192 人の常勤職員(嘱託を
含む。)を配置し、国の代行機関として検査、登録測度及び原動機放出量確認等の業務(以下
「検査等業務」)を実施し、小型船舶の安全確保や海洋汚染の防止に努めています。

一方、わが国のプレジャーボート市場の長期的・構造的な低迷により、JCIの在籍船は、平成12
年度末の約 55 万隻をピークに約 4 割減少しています。また、検査手数料が平成 12 年 4 月以
降ほぼ実質据え置かれているために、検査等手数料収入も約 3 割減少しています。
さらに、現在の小型船舶の所有者の 4 割が 60 歳以上であることに加えて、若者の「海離れ」が
進んでいることを考えると、今後も在籍船及び検査等手数料収入の減少が続くものと予想され、
JCI を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況が続くものと見込まれます。



2.業務運営の効率向上
小型船舶を取り巻く環境が厳しいなか、国の代行機関として健全かつ安定した業務運営を継続する
ため、中期経営計画期間中の業務量等の予測をもとに、組織・体制の見直しや効率的な業務のあり
方を計画し実施します。なお、その間に経営環境が激変等する場合には、適宜見直しを行います。

(1) 業務量・収入の予測(図1参照) (見直し)
業務量及び検査等手数料収入は、2017 年度(平成 29 年度)に比べて、中期経営計画の前期最
終年度の 2022 年度においては約 1 割、後期最終年度の 2027 年度においては約 2 割減少する
と予測されます。
なお、検査等手数料収入がピークであった 1997 年度(平成 9 年度)との比較では、2022 年度及
び 2027 年度の検査等手数料収入はいずれも 5 割前後に減少すると予測されます。

(2) 組織・体制の見直し (見直し)
①本部体制の見直し
検査等の業務執行体制の運用管理の効率化を図るため、本部の組織・体制について必要な見
直しを行います。
②支部の統合
前中計に引き続き、年間業務量が必要検査員相当で2人以下に減少する支部について、行政サ
ービス水準を原則保持しつつ、近隣の支部との統合を含めた組織の見直しを行います。
見直しにあたっては、前中計における秋田及び高知支部の近隣の支部との統合(青森支部につい
ては管轄区域を一部変更)の効果や問題点の検証、今後の各支部の業務量の動向、業務効率化
の施策の進捗状況等を踏まえて、近隣支部との段階的な統合や管轄区域の変更等を検討しま
す。
(3) 人員の削減 (見直し)
①本部常勤職員の人員の見直し
組織・体制の見直しに基づき、本部常勤職員の人員の見直しを行います。
②支部常勤検査員の人員の見直し
支部の常勤検査員総数を、中期経営計画の前期最終年度の2022年度年初までに、2018年度(平
成30年度)年初と比べて12人削減します。
2023年度以降の後期については、前期の業務量や検査等手数料収入の動向、施策の実施状況
等をレビューしつつ、業務量に応じた人員の適正化を検討します。
[参考]
2018年度年初における支部の常勤検査員総数   :150人
2022年度年初における支部の常勤検査員総数(計画) :138人



(4) 経費の削減 (見直し)
①役職員給与の削減
役職員給与については、これまでに役職員俸給・期末勤勉手当の引下げ、各種諸手当の廃止等
により削減を図ってきましたが、業務量に応じた人員の適正化を図ることによって、さらなる給与総
額の圧縮に努めます。
上記(3)②の支部の常勤検査員総数の削減により、2022 年度末までに、2017 年度(平成 29 年度)
と比べて概ね 1 割程度の圧縮が見込めます。
②業務費の削減
業務費については、前中計に引き続き、節約努力を継続していきます


中期経営計画(2018-2027年度)
https://jci.go.jp/jci/pdf/koukai/chuukei_hp.pdf



それぞれ事情はあるのでしょうが、なんだか虚しい気持ちが。