船舶の飲酒について。
検問しにくいでしょうね。道路より。だからでしょうか。
水上バイク、プレジャーボート、海のレジャーは楽しそうですよね。たぶんお酒入ってるんでしょうね。
だからでしょう、海の上でも飲酒事故は起こります。
”淡路島の水上オートバイ事故で報告書 “飲酒し無免許で操縦”
運輸安全委員会の報告書によれば
本船は、本件海域において南西進中、ほろ酔い期の同乗者Aがエンジン最大回転数で操縦し、本件護岸方向に直進したことから、本件護岸に接触したのち、本件消波ブロックに衝突したものと考えられる。
本船が、本件護岸方向に直進した状況については、同乗者A及び船長が本事故で死亡しており、明らかにすることができなかった。
同乗者Aから死体検案時にアルコールが検出されたことは、同乗者Aがエンジン最大回転数で操縦し、本船が本件護岸方向に直進したことに関与した可能性があると考えられる。 同乗者Aは、特殊小型船舶操縦士免許を受有しておらず、水上オートバイの操縦を行ってはならなかった。
本事故は、本船が本件海域において南西進中、ほろ酔い期の同乗者Aがエンジン最大回転数で操縦し、本件護岸方向に直進したため、本件護岸に接触したのち、本件消波ブロックに衝突したものと考えられる。
このような事が起きていたと報告されています。
また、他にも海上・船上・船内での飲酒が原因と思われる事故が起きています。
本船は、次のことから、漂泊中、船長が、飲酒した直後、ふらつく状態となって落水した可能性があると考えられる。
(1) 船内に船長が購入した缶チューハイ(アルコール分9%)の500mℓの空き缶2個等が残されていたことから、船長が 1,000mℓの缶チューハイを摂取したと考えられること。
(2) (1)及び船長の体重約70kgを用いてウィドマーク計算法により計算した飲酒直後のアルコール血中濃度が約0.15%であることから、文献「アルコールと健康」に記載されたアルコール血中濃度に対する酔いの状態により、船長は、酩酊前期で、立てばふらつく状態であった可能性があること。
海上輸送の安全レポート、令和3年度版
8月31日、国土交通省は海上輸送の安全にかかわる情報(令和3年度) を公表しました。同時に旅客船及び貨物船に対する運航管理監査の結果も。
しれっと、結構衝撃的な内容がありました。
事案1
【概要】 令和2年12月7日午後4時頃、乗組員6名、ペトロコークス2,200トンを乗せた貨物船「菱幸丸」(749トン)が、東京湾浦賀水道付近を航行中、航路を逆航し、海上交通法違反として、海上保安庁による事情聴取を受けた。海上保安庁職員が船長に対して、アルコール検知器を用いた検査を行ったところ、呼気1リットル中0.65ミリグラムのアルコール濃度を計測し、酒気帯び状態での当直が確認されたことから、地方運輸局に対し通報がなされた。
【原因】 安全管理規程に基づくアルコール検査体制を定めた検査要領(社内規定)について、当直者に対して誰が検査を行うのか明示されていなかった。 アルコール検知器が正常に作動しておらず、定期的な点検を実施していなかった。 船長は以前より検査記録を偽造し、その行為を周囲が見逃していた。
【命令内容】
1. 経営トップ自らが、輸送の安全確保のために、関係法令等の遵守と安全最優先の原則を社内及び船舶所有者に周知徹底するとともに、安全管理体制の継続的改善を主導すること。
2. アルコール検査体制について、酒気帯び状態での当直を確実に防止するための具体策を講じ、実効性のある安全管理体制を確立すること。
3. 貴社の安全管理規程第35条に基づくアルコール検査体制を定めた検査要領である社内規定において、出港時における航海当直者に対するアルコール検知器による検査の実施及びその検査記録の保存について規定するなど整備すること。
4. 運航する船舶の船舶所有者及び乗組員に対して、本件事案を踏まえた酒気帯び当直の禁止に係る教育及び輸送の安全を確保するため必要と認められる事項についての安全教育を定期的に実施し、また、当該安全に係る事項の緊密な報告の励行を徹底させること
事案13
【概要】 令和4年1月22日午後5時頃、長崎県雲仙市の一般旅客定期航路「多比良~長洲航路」において、乗客38名、車両16台を乗せたフェリー「有明みらい」(698トン)の機関長が、勤務中にもかかわらず、自室で飲酒しており、飲酒から事案発覚までの間、当直業務を行っていなかった。
【原因】 飲酒に係る定期的な社内教育が不十分であった。 以前から飲酒の疑いがあったものの、関係者間での情報共有が図られていなかった。
【指導内容】
1. 安全統括管理者は組合船員、陸上職員及び派遣船員間の情報伝達並びにコミュニケーションを充実させるための体制を構築し、適切に情報共有を図ること。
2. 安全統括管理者及び運航管理者は有明海自動車航送船組合内において、船員法及び海上運送法等の関係法令その他輸送の安全を確保するための16 安全教育とあわせて、飲酒にかかる教育を定期的に行うこと
その他事案1
【概要】 令和3年2月17日午後3時頃、佐賀県唐津市の一般旅客定期航路「小川島~呼子航路」において、乗客25名を乗せた旅客船「そよかぜ」(85トン)が、着岸間際に、突風を受け、船舶が流され、岸壁に接触した。乗客等に怪我は無かった。
【原因】 入港中止基準を上回る風速及び波高であったが、島民の葬儀・火葬のため遺族や遺体等を運送する必要があると判断し、入港中止措置を講じなかった。
【指導内容】
1. 運航中止基準を遵守すること。なお、現在の基準を変更する場合は、海上運送法第10条の3に基づく安全管理規程の変更届出手続をとること。
2. 事故やインシデントが発生したときは、速やかに運輸局、海上保安官署、その他関係機関等へ連絡・報告を行うこと。
3. 船内巡視を実施したときは、都度、巡視結果を巡視記録簿に記録すること。
4. 全乗組員について、出航前にアルコールチェッカーを使用したアルコール検査を実施し、アルコール検査体制を確立すること。
5. 小川島港における係留方法について、2月25日に確認したところ、認可を受けている内容と異なっていたので、今後もこの方法をとるときは、海上運送法第11条に基づく事業計画変更認可申請手続をとること。
これは飲酒の認定ではないですが、検知器の使用義務(2020年4月~)を果たしていなかったと認定された模様。
運輸安全委員会のサイトで検索してみると・・
運輸安全委員会のサイトでは船舶の事故報告書がアーカイブされています。
「飲酒」「アルコール」と検索ワードに入れてみると・・・。
甲板員Aは、本船が新潟港西区において、出航準備作業中、飲酒して間もない状態の甲板員Aが本船から岸壁上に転落して死亡したものと推定される。 本船は、始業ミーティング時に健康チェックが行われておらず、甲板員Aは、04時50分ごろ同ミーティングが終了した後、甲板手Aにより、左舷側通路に移動するのが目撃された後、転落したものと推定されるが、本事故が発生するまでの間の目撃者がいなかったことから、転落した詳細な状況を明らかにすることはできなかった。 甲板員Aは、23日18時00分ごろから24日02時00分ごろまでの間、断続的に飲酒していたこと、及び通常、閉鎖されている4階船橋甲板の左舷側外通路に設けられた3箇所のゲートを全て開放したことから、アルコール類の過剰摂取により、意識障害及び運動機能障害が生じた状態であったことが本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。
本船は、小方港を南進中、飲酒をしてほろ酔い期の状態の船長が、舵輪から手を離した際、舵輪が僅かに左寄りとなったものの、ふだんと同様、本件防波堤の西方を通過する針路となっていると思って航行していたことから、緩やかに左転して本件防波堤に向かう針路となっていることに気付かず、本件防波堤に衝突したものと考えられる。 船長は、飲酒をしていたことから、本船の針路や障害物に対する注意力が低下していた可能性があると考えられる。 船長は、本件点滅灯が本件防波堤南方の工場地帯の明かりや街灯に紛れていたことから、衝突場所の約1m上方に設置され、正船首方に存在した本件点滅灯に気付かなかった可能性があると考えられる。
本船は、阪神港神戸第2区を東進中、船長が、アルコールを摂取して判断力が低下している状態で、船首方の警戒船の存在に気付いておらず、また、船首方に黄色標識灯を数基認めたものの、水深の深い所で工事が行われていて本件ケーソンも撤去されて黄色標識灯間を通過できると思って航行を続けたことから、本件ケーソンに乗り揚げたものと考えられる。 船長は、ビール2缶及び焼酎約2合を飲んでいたことから、本事故当時、酩酊前期もしくは酩酊期であって判断力が低下していたものと考えられる。 本事故当時、本件ケーソン天頂部が最低水面とほぼ同じ高さで潮高が約0.7mであったことから、本件ケーソン天頂部は海面下約0.7mであったものと推定される。
歴代の飲酒事案が・・。
船は、路上と比べて取り締まりを受けにくいので飲酒しやすいのだろうなと思う。
「船」業界にはまだまだ、飲酒問題がひそんでいる気がします。