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荷主から強烈なクレームにさらされるドライバーは、心安らかに運転出来るだろうか?―カスハラ啓発とストレスチェック義務化が示す新しい安全領域

全日本トラック協会は、ドライバーの社会的評価向上に関する提言を受け、
カスタマーハラスメント対策の啓発動画を公開しました。

https://vimeo.com/1144755218/6031bb73d6?share=copy&fl=sv&fe=c
トラック輸送を支えるドライバー従業員を守るために ショート編(30秒)

本編動画はこちらから:https://vimeo.com/1144755336/7e42e2431a?share=copy&fl=sv&fe=ci

運輸業は社会を支える「エッセンシャルワーカー」と評されてなお、
こうした啓発が必要とされる現状からは、現場の実態と社会認識の間に
まだ隔たりがあることがうかがえます。

感情は運転席まで持ち込まれる

ドライバー業務は一人で完結する時間が長く、感情の切り替えが難しい仕事です。

・荷主や配送先での強い口調
・待機による焦りや時間のプレッシャー
・逃げ場のない対人対応

強い口調を受けたあと、すぐに気持ちを切り替えて安全運転に戻れるか。
言葉にすれば簡単ですが、自分事に置き換えると容易なことではありません。

感情の揺れは外からは見えにくく、そのまま運転席に持ち込まれます。
そしてそのくすぶりは、結果として

・確認不足
・判断の遅れ
・注意力の低下

といったヒューマンエラーとして表れます。
体調不良とは違い、点呼では捉えにくい変化です。

点呼では問題がなかったのに、運行中に様子が変わる。
多くの管理者が経験として知っている感覚ではないでしょうか。

健康管理は「体」と「心」の両輪へ

労働安全衛生法の改正により、50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されます。

https://transport-safety.jp/archives/26456

ストレスチェックはメンタルヘルス施策として語られがちですが、
運輸の現場で起きていることを踏まえると、少し違った意味も見えてきます。

これまで管理の中心だったのは「体調」でした。
睡眠、疾病、酒気帯び――いずれも身体状態の確認です。

今回の改正は、「心の状態も安全に関係する」という考え方が、
制度の中に位置づけられ始めた動きとも捉えられます。

ストレスチェック、どう活かす?

では、この変化を運輸事業者はどのように活かせるでしょうか。

年1回のストレスチェックだけでは、日々の事故防止に直結させることは難しいといえます。

点呼が毎日行われるのは、体調が日々変化するためです。
心理状態も同様に日々変わります。
もし安全情報として扱うなら、年単位ではなく「運行単位」で捉える必要が出てきます。

日々の点呼でストレスや緊張度を可視化する

例えば、ストレス状態を点呼の中で確認できる仕組みとして
東海電子の企業向けストレスチェッカー「HC-PRO」があります。

点呼のタイミングでその日の状態を記録すれば、見えにくい緊張や負荷を把握できます。

アルコール測定が特別な検査から日常の確認へ変わったように、
心理状態もまた、安全情報の一つとして扱う――そうした運用を想定した考え方です。

年1回のストレスチェックも、日々の蓄積があれば位置づけが変わってくるかもしれません。

広がる安全管理の範囲

カスタマーハラスメント対策とストレスチェック義務化。
どちらも一見すると「働き方」や「ケア」の話に思えます。

しかし安全管理の視点に立つと、
点呼で扱う情報の範囲が変わり始めている、ともいえるのではないでしょうか。

心理状態を把握することは、ドライバーを守る取り組みであると同時に、
事故を未然に防ぐ領域と重なります。

安全管理の対象は、いま静かに広がっているのかもしれません。


https://transport-safety.jp/archives/29224
https://transport-safety.jp/archives/27619