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トラックドライバーのフェリー飲酒について考える

本件運転手は、同僚運転手Bから本船の荷役作業が20日00時ごろから 開始されるので飲酒をやめるように強い口調で忠告を受けたが、本件運転手は忠告を聞かなかった


約2年前におきた博多港でおきたトラックドライバーによる、「船上」の飲酒が原因の死亡事故です。12月17日運輸安全委員会より報告が公表されました。

https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2020/MA2020-11-1_2019tk0028.pdf

本件は、船上で起きた「飲酒事故」のため、事業用自動車による飲酒死亡事故とはなりません。

2006年の飲酒事故の記憶が新しい福岡では、この「事件」にざわつくのは当然と言えましょう。

船内であるため道路交通法の飲酒運転の罪に問えないこと(免許制度上も)、被害者が港湾運送会社につとめていたこと、被害者の父親もまた運送会社に勤めていたからです。


報告書から、重要な点を抜粋します。


B社の安全管理

B社の回答書及びB社の担当者の口述によれば、次のとおりであった。
(1) B社は、港湾運送事業法の許可を得た港湾運送事業者で、労働安全衛生法等に 則のっとって、安全衛生管理規程及び同規程に基づく安全衛生委員会規定を定めていた。
(2) B社は、本社に総括安全衛生管理者、副総括安全衛生管理者及び安全管理者を置いて、労働安全衛生法第14条の定める業務区分に応じ、有資格者の中から船内荷役作業主任者を置いて安全衛生管理体制を構築していた。
(3) B社では、安全衛生管理者等が集まって中央安全衛生委員会を毎月1回開き、職場における労働災害及び事故の防止等に関する注意事項、ヒヤリハット摘出活動、安全衛生パトロール実施状況報告、安全衛生管理推進目標の推進状況及び実施結果の報告などを行っていた。


C社の安全管理

C社の就業規則、安全衛生管理規程、安全衛生管理計画、社内安全ミーティング議事録及びC社の担当者の口述によれば、次のとおりであった。
(1) C社は、貨物自動車運送事業者で、港湾運送事業法の許可を得ていないものの、B社と自動車運送契約を結びB社の港湾荷役作業を請け負っていた。
(2) C社では、安全管理者等が集まって安全衛生委員会を毎月1回開き、職場におけるヒヤリハット、各部署からの報告及び安全衛生パトロール実施状況の報告などを行っていた。
(3) C社では、運転者に対して安全等に関する教育を目的とした会議を毎月1回開き、ヒヤリハットの報告や飲酒が運転者に及ぼす影響や飲酒運転防止対策等の啓発を行っていた。

 

飲酒に関する情報(B社、C社)

B社及びC社の回答書によれば、次のとおりであった。
(1) B社
① B社は、B社の社員に対し、職場安全衛生管理基準に基づいて、次のとおりの荷役始業前のアルコールチェックを行っていた。


② B社は、C社が乗務開始前の点呼の際にアルコールチェックを行っているので、C社の社員に対しては、同基準に基づくアルコールチェックは行っていなかった。


(2) C社
C社は、雇用する運転手に対し、乗務開始前等の点呼の際にアルコールチェックを実施していた。

 


本件運転手の飲酒状況

本件運転手、同僚運転手A、同僚運転手B及びC社担当者の口述並びに警察の回答書によれば、次のとおりであった。
(1) C社は、19日07時50分ごろ、本件運転手に対し、乗務開始前の点呼においてアルコールチェックを行い、呼気アルコール濃度が0.0mg/ℓであった。


(2) 本件運転手は、12時ごろに一旦乗務を終えた際、本船の入港が遅れて荷役作業が20日00時ごろからになると分かっていたが、C社には戻らず、本件岸壁近くに停車したトレーラーヘッドの中で待機していた。


(3) 本件運転手は、19日18時ごろ~20時ごろまで本件岸壁周辺の飲食店に同僚運転手A及び同僚運転手Bと共に夕食に行き、夕食と共にビールをジョッキ3杯と焼酎の水割り2杯を摂取した。
本件運転手は、同僚運転手Bから本船の荷役作業が20日00時ごろから開始されるので、飲酒をやめるように強い口調で忠告を受けたが、本件運転手は忠告を聞かなかった。


同僚運転手Aは、ビールをジョッキ2杯摂取したが、同僚運転手Bから忠告を受けてそれ以上摂取しなかった。


(4) 本件運転手は、20時10分ごろ本件岸壁に戻り、トレーラーヘッドの中で休憩の目的で睡眠を取った後、22時ごろ目を覚まし、購入していた缶ビール2本を摂取した。

(5) B社及びC社は、本船の荷役作業開始前に本件運転手に対するアルコールチェックを行っていなかった。

(6) 現場責任者、中間舷門員及び脚巻き作業員は、荷役作業中、本事故が発生

するまで、本件運転手の運転状況に特に異常を感じなかった。

(7) 本件運転手は、本事故発生から約2時間後に警察によって行われたアルコール呼気検査において、呼気1ℓあたり0.27mg のアルコールが検出された。



 


事故報告書(自動車局)

本件は、自動車局の事故調査委員会の対象にはなっていないようです。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/report1.html

今回の運輸安全委員会の報告書より詳しい内容は、今後出てこないかもしれません。

 

 

事故報告書(大阪 トレーラー飲酒死亡事故)

みなさん、覚えていますか? この事故のことを、トラックドライバーのフェリーでの飲酒常態化のことを。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/pdf/1783102.pdf

P45

(6) 当該事業者のフェリー内での飲酒の慣例分析


2.1.4.2 に記述したように、運転者の口述によると、フェリーには当該事業者の運転者が毎回 10 名程度乗船していた他、地元の運送事業者の運転者等顔見知りの者も乗船しており、これら運転者仲間の一部には、一緒に飲酒等しながらコミュニケ
ーションを図る飲酒会合が行われていたものと考えられる。

フェリー内での飲酒は、いつ頃から行われていたのかについては確認できなかったが、当該運転者や同僚運転者の口述にもあるように、当該運転者が初めてフェリーに乗船した約 29 年前には、既に行われていて、長年に渡り、先輩運転者から引き
継がれてきたもので、当該事業者の運転者の中でまん延していたものであったと考えられる。

フェリー内での飲酒は、運転者にとっては長年見てきたいつもの光景であったことから、当たり前で不思議なことではないと思っていたことや、寝酒程度に飲むことで仮眠しやすくなり、運転再開時にはアルコールが体内から抜けている量であると思っていたこともあり、運転者同士の仲間意識から暗黙の了解ができているようで口止めされていたわけではないが、中止を進言したりする者や会社に報告したりする者のいないまま継続され常態化してきたものであり、このような遵法精神を欠いた運転者間での行動が長年に渡り放置されていたことが、このような飲酒運転による重大事故につながったものと考えられる。

 

この事故から2年もたたずに、今回の博多港の件が起きました。
いずれの件も、飲酒量が普通には思えません。

まわりのひとも、気づいてましたよね?

いま、国土交通省は、安全プラン2030を策定中です。
よほどインパクトある対策にしないと、この「慣行」は無くならないのでは? と感じます。


今般の博多のケースですが、事業者としては、以下の対策となっていますが、


携帯型のアルコールチェックやスポットでの安全教育が奏功するとは思えません。なぜなら、大阪で起きた件の再発防止策


このような対策が、業界で共有され実践されていないことがはっきりしたのが今回の件ではないでしょうか。