骨太方針から、国土交通省の令和7年予算に思いを馳せる・・・
6月21日、来年度の予算の骨子となる政府方針が公表されました。
骨太方針、と言われるものです。
各省庁は、この方針をもとに来年の予算をつくります。
今月末には、骨太方針に基づいた国土交通省の来年度予算(概算要求)が出てきます。
この文書はある意味、日本という国が国内外の情勢をどう捉え国を運営・経営してゆくか、という経営計画書の骨子です。
未来の人流、未来の人材、未来の雇用、未来の教育、未来の荷動き、未来の日本、国際環境・・・
政府の事実認識、未来像は、本当に正しいのか。民間企業は 骨太方針に現れている時代認識に正面から向きあうのか、それとも、違うだろ、と独自の時代解釈で違う方向に向かうのか。
こんなメッセージ、キーワードが語られています。
- ○誰もが活躍できるWell-being が高い社会の実現
- ○社会課題解決をエンジンとした生産性向上と成長機会の拡大
- ○経済・財政・社会保障の持続可能性の確保
- ○地域ごとの特性・成長資源をいかした持続可能な地域社会の形成
- ○海外の成長市場との連結性向上とエネルギー構造転換
- ○国民意識の変革と行動喚起
- ○賃上げの促進
- ○三位一体の労働市場改革
- ○価格転嫁対策
- ○人手不足への対応
- ○中堅・中小企業の稼ぐ力
- ○輸出・海外展開
- ○AI・半導体
- ○デジタル・ガバメント
- ○医療・介護・こどもDX
- ○教育DX
- ○交通・物流DX
- ○防災DX
- ○観光DX
- ○GX・エネルギー安全保障
- ○宇宙
- ○海洋
- ○資産運用立国
- ○スタートアップの支援・ネットワークの形成
- ○コンテンツ産業の海外展開
- ○外国人材の受入れ
- ○持続可能な観光立国の実現
- ○女性活躍
- ○カスタマーハラスメント
- ○文化芸術・スポーツ
- ○経済安全保障
- ○防災減災
- ○医療・介護保険等の改革
- ○予防・重症化予防・健康づくりの推進
- ○社会保障・少子化をめぐる中長期課題への対応
あらためて読むと、業種や業界というより、個人も企業も、時代に適応してゆかなければならない、そういう身の引き締まる思いを持ったりもします。
ライドシェアの骨太方針は? 物流DXは??
上記の骨太方針にあるキーワードから、国土交通省の予算コンセプトも見えてきそうです。
運輸関連を数カ所。
デジタルを活用して、全国の移動の足不足の解消への道筋をつけるという観点から、規制改革推進会議における議論を踏まえ、安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用可能とする。このため、全国の移動の足不足の解消に向けて、自家用車活用事業等について、モニタリングを進め、検証を行い、各時点での検証結果の評価を行う。並行して、こうした検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、内閣府及び国土交通省の論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を進める。
議論は進めるようですね。国交省は継続議論のために予算もつけると思われます。
(交通・物流DX)
地域交通の利便性・生産性等の向上に向け、MaaS、AIオンデマンド交通、配車アプリ、キャッシュレス等を推進する。空飛ぶクルマの運航拡大に向け制度整備等を行う。高速道路の渋滞緩和や地域活性化等に向け、ETC専用化を踏まえ、2025年度より段階的に混雑に応じた柔軟な料金体系へ転換していく。このため、まずは現在のスキームの下で最大半額となる料金体系の導入に向け、8月を目途に検討32を開始する。
「デジタルライフライン全国総合整備計画」33に基づき、自動運転車優先レーンを含む自動運転サービス支援道34、ドローン航路等の社会実装を加速し、共通の仕様・規格の策定等を通じて今後10年で全国展開を図る。一般道での自動運転について、2024年度に約100か所で計画・運行を行い、2025年度に全都道府県での通年運行の計画・実施を目指す。2027年度に自動運転等の新たな技術を用いたサービスの本格的な事業化開始を目指し、専門事故調査体制の整備など、「モビリティ・ロードマップ2024」に即した取組を進める。
物流の効率化に向け、ダブル連結トラック対象路線拡充や自動運転トラック、自動配送ロボット、自動倉庫等の実装、手続電子化等を推進する。物流危機の抜本的解決に資する自動物流道路について、我が国最大の大動脈である東京-大阪間を念頭に具体的な想定ルートの選定を含め基本枠組みを夏頃に取りまとめ、早期に社会実験に向けた準備に着手し、10年後を目途に先行ルートでの実現を目指す。自動運航船の2030年頃までの実現を目指す。
観光関連・・・
(観光DX)
旅行者の利便性向上等に向け、訪日客向けICカードのモバイル化や交通・決済アプリの多言語化の利用を促進するとともに、地域共通のキャッシュレス・アプリ・予約サイト等の整備やデータ連携など面的DXを推進する。顔認証等の新技術を活用した空港での旅客手続の円滑化を含む空港業務DXや、関係機関のデータ連携による厳格で円滑な出入国管理を進める
(持続可能な観光立国の実現)
2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人・消費額15兆円を目指し、戦略的に取り組む。地方を中心としたインバウンド誘客に向け、我が国固有の温泉・旅館・食・歴史などの観光資源・文化資源の磨き上げ・連携を図りつつ、特別な体験の提供、アドベンチャーツーリズム等の地域の多様な観光コンテンツ造成ローカルガイドを含む観光人材の育成、高付加価値な観光地づくり、国立公園・国定公園・国民公園や公的施設の魅力向上96、空港・CIQ・二次交通等の受入環境整備、クルーズの再興と拠点形成、消費税免税制度の見直し・適正利用、戦略的なプロモーション、伝統的酒造りの魅力発信、MICE誘致・開催、厳格なカジノ規制を含むIR整備、デジタルノマドビザの活用促進、アウトバウンド・
国際相互交流の拡大等を推進する。持続可能な観光地域づくりに向け、宿泊施設・観光施設の改修等を計画的・継続的に進め、観光地・観光産業の再生・高付加価値化を促進する。観光DXや観光地・観光産業における業務の効率化・省力化、外国人材活用等による総合的な人材不足対策に取り組む。オーバーツーリズムの未然防止・抑制や観光地のマネジメント体制構築等を促進する。
国内交流拡大に向け、ワーケーションやユニバーサルツーリズム等の推進により、需要
の平準化や新たな交流市場拡大を進める。
運輸業、宿泊業、飲食業を始めとする人手不足感が高い業種において、AI、ロボット等の自動化技術の利用を拡大するため、業界団体による自主行動計画の策定を促す。それらの業種において導入が容易なロボットについて、ハード・ソフト両面の開発を促進する。
自動化技術を用いることができる現場労働者の育成に向けたリ・スキリングを推進する。人手不足の資格職等における「分業」(例えば、教師に対する校務・マネジメントの支援、機械導入によるトラックドライバー業務の軽減等)を推進する。
なお、政府の骨太方針には、特定業種(トラック、バス、タクシー等)でここ2年注目されてきた「2024年問題」という言葉は存在しない。
日本は人手不足といいながら・・。
とあるページにこんな表現がありました。
○ 日本は、人手不足と言いながら、電子メール、表計算ソフト、インターネット、プログラミング言語、リアルタイム・ディスカッション・ツール、ワープロソフトの使用頻度が高い業務に従事する労働者の割合が世界各国と比べ特に低い。
○ 我が国のリ・スキリングの対象は専門家もさることながら、それぞれの産業でICTの基本的な使用ができるようになることではないか。
ジョブ型の洗礼を受けよう!?
今後の人材の採用観点では、メンバーシップ型は弊害となるかも・・・・。と政府が言い始めていますね。