『全車種デジタコ義務化』をせずに、”ICT運行管理”という言葉が、来るプラン2030で使われるハズがない・・と思いたい。
関係者(行政、デジタコメーカー、トラック協会)は覚えているハズです。
デジタル化時代にすでに入っていた2014年に、「アナログもOK」という結論を出したことを。
今、業界関係者は、悔いているのではないでしょうか? あのときからDXが始まっていれば・・と。デジタルツールの中長期的なメリットを信じ抜いていればと。
2014年3月26日 トラックにおける運行記録計の装着義務付け対象拡大のための検討会
時は10年前に遡ります。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000015.html
議事録からは
・トラック産業は賃金や労働時間等の問題で若年層に魅力の無い職場となっている。最低
でも運行記録計を義務づけし労働時間の管理・安全管理をするべきと考える。
・デジタル式運行記録計は運転時間と休憩時間を管理するのに有効。拘束時間については、
点呼記録簿や乗務記録等総合的に判断するものとなる。
・トラックドライバーの労働時間の改善や経営状況の改善を行う上で、運行記録計は活用
できるものと思う。
今般言われている「2024年問題」における主要論点である、労働時間や拘束時間にも言及されている。
「運行記録計(アナログおよびデジタル)」の普及・義務化となっており、「デジタルタコグラフの義務化」にしなかったのは、しかるべき理由や背景があってのことだと思われます。
以上を踏まえれば、運行記録計の装備義務付け拡大にあたっては、当面はアナログ式運行記録計の使用も認めることとし、別途、次世代の運行管理・支援システムの在り方に関する検討を進めるべき。
出典:トラックにおける運行記録計の装着義務付け対象拡大のための検討会https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000015.html
2014年 次世代運行管理・支援システムについての検討会
前述のナガレで、検討会が立ち上がりました。
この検討会が立ち上がった1年3ヶ月後に、軽井沢スキーツアーバス事故が起きました。
そして、(次世代運行管理システムのひとつの要素である)ドライブレコーダーの装着が義務付けされました。
ここの時点では、貸切バスは、運行記録計の「デジタル」縛り規則はありませんでした。
当該事故ではアナログタコグラフによる記録が残っていたので、(デジタルではないにせよ)しっかりとした分析が行われました。
一方、ドライブレコーダーが装着されていないことで、運転者の挙動分析が精緻にできなかったことが当時問題視されました。(なので、義務化となったのでした)
2014年 12月1日 装着義務拡大 省令改正
デジタルではなく、アナログ含む運行記録軽の装着範囲が、総重量7tまで拡大されました。
一般貨物自動車運送事業者等の事業用自動車のうち、運行記録計による記録及び当該記録の保存を行うことを義務付ける対象を「車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上の普通自動車である事業用自動車」から「車両総重量が7トン以上又は最大積載量が4トン以上の普通自動車である事業用自動車」に拡大する。
デジタルしばりではなく、「アナログ運行記録計もしくはデジタル運行記録計」です。
装着義務範囲対象車両、の改正でした。
上記検討会では主に、「FMS」 が議論されてました。
そして時は流れ・・、プラン2020、プラン2025、いずれも、「事業自動車へのデジタルタコグラフの装着義務付け」は盛り込まれませんでした。
2023年12月 パブリックコメント
2023年に入ると、2024年問題が問題視されるようになり、運行記録計周辺にも動きが出てきました。
このパブリックコメントの結果が2024年1月5日公表されています。
こういう内容で、意見募集されておりまして・・。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000262702
こういう意見が出ておりました。
2024年2月26日 「将来的な義務付けも視野にいれつつ強力な普及促進を図る」
決まりじゃないでしょうか? 私見ですが、本記事のタイトル通り です。今度こそ「デジタル」タコグラフの方ですよね。
そして、上記1月のパブリックコメント結果を受けて・・でしょうか。第1回「物流革新に向けたデジタル式運行記録計の普及促進に関する検討会」が早速開催されました。
トラック、バス、タクシーのデジタルタコグラフ装着義務化を議論するのは、誰か?
委員の方々です。
資料2 物流革新に向けたデジタル式運行記録計の普及促進に関する検討会について
資料3 貨物自動車運送事業におけるデジタコの搭載状況アンケート結果等
以上、https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000160.html
からでした。
この検討会、2014年から10年、同じ結論を出すとは思えない。
あまり、もめる点はなさそうですしね・・・。
今回のアンケートや資料を見ると、ほぼ決まりかな・・と思いませんか?
そして、一般論的にも、適切な時代の流れかと。
来年あたりからプラン2030の準備に入ると思われます。
時代のキーワードは、GXとDX。安全政策系は、DXネイティブな施策になるでしょう。