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遠隔点呼(高度なIT点呼)元年、申請は4月1日~5月31日、実施は7月から。

さて、2021年12月27日のことです。国土交通省の安全政策課と旅客課と貨物課、3課連名で、全国の運輸局(交通部、監査指導部、技術安全部)宛に、遠隔点呼の正式な実施通達が発せられました。いよいよ、遠隔点呼の申請が始まるよ! というお達しです。

配布された内容を、埼玉県トラック協会のサイトにて閲覧することができます。

https://www.saitokyo.or.jp/wp-content/uploads/2022/01/7957a7acd845eb51968ac6a2cc88518c.pdf


国土交通省の、最終的な内容を、ひとつひとつ補足を加えながらお伝え致します。

 


さて、1枚目で、今回の遠隔点呼実施にいたる背景と、制度の重要なポイントが2点、示されています。


なお、自動車運送事業者が別添「遠隔点呼実施要領」に基づいて遠隔点呼を行った場合、当該自動車運送事業者は、旅客自動車運送事業規則規則第24条又は貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条の規定に適合する点呼を行ったものとして取り扱うものとする

遠隔点呼は、対面点呼同様、点呼実施数にカウントされる、との意です。


また、輸送の安全に関する取組が優良であると認められる営業所において認められている現行のIT点呼及び旅客IT点呼については、別添「遠隔点呼実施要領」の規定に関わらず、従前のとおり取り扱うものとする

IT点呼と旅客IT点呼は、要件も申請手続きも従来通り(遠隔地IT点呼も従来通り)、運行管理高度化検討会と関わらず、申請も運輸局とやりとりすれば良い(後述)とのこと。

 

さて、「遠隔点呼実施要領」という文書は、以下の内容で構成されています。

遠隔点呼実施要領

Ⅰ 用語の定義 Ⅱ 遠隔点呼の実施方法
Ⅲ 機器・システム要件 Ⅳ 施設・環境要件
Ⅴ 運用上の遵守事項 Ⅵ 運輸支局長等への申請・届出
Ⅶ 附則(実施時期)
別紙1 遠隔点呼の実施に係る申請書 別紙2 遠隔点呼の変更に係る申請書
別紙3 遠隔点呼の変更に係る届出書 別紙4 遠隔点呼の終了に係る届出書
別紙5 遠隔点呼の実施に係る適合確認・宣誓書 別紙6 遠隔点呼の変更に係る適合確認・宣誓書
 
  

 

では、内容をひとつづつ見ていきましょう。


Ⅰ 用語

本実施要領で使用する用語は、道路運送法(昭和26 年法律第183 号)及び旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31 年運輸省令第44 号)並びに貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83 号)及び貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2 年運輸省令第22 号)において使用する用語の例によるほか、次に定めるところによる。

1.「遠隔点呼」とは、自動車運送事業者(以下「事業者」という。)が、本実施要領で定める要件を満たす機器・システムを用いて、遠隔拠点間で行う点呼をいう。

2.「グループ企業」とは、100%株式保有による支配関係にある親会社と子会社又は100%子会社同士をいう。


補足します。

遠隔点呼とは、(ややこしいですが)、運行開始後、遠くにいる(遠隔にいる)ドライバーとの電話点呼を遠隔で実施する「遠隔地IT点呼」とは違います。誤解なされませんように。また、グループ企業とありますが、現在貨物で認められている「グループ企業内点呼」とは、実施要件が異なります。概念は似ていますが、実施要件が異なります。ややこしいですねえ。

 


Ⅱ 遠隔点呼の実施方法

1.遠隔点呼は、事業者からの申請に基づき、ⅢからⅤまでに掲げる要件を満たしていることが確認され、かつ、運行管理高度化検討会の監督下において行われることが認められることにより行うことができる。

2.遠隔点呼は、以下に掲げる営業所内又は営業所等間で行うことができる。

①営業所内
営業所と当該営業所の車庫間又は当該営業所の車庫と当該営業所の他の車庫間

②営業所等間
営業所と他の営業所間、営業所と他の営業所の車庫間若しくは営業所の車庫と他の営業所の車庫間又は営業所とグループ企業の営業所間、営業所とグループ企業の営業所の車庫間若しくは営業所の車庫とグループ企業の営業所の車庫間

3.本実施要領に基づいて遠隔点呼が行われた場合、運転者が所属する営業所の運行管理者又は補助者(以下「運行管理者等」という。)による対面での点呼が行われたものとして取り扱うことができる。なお、遠隔点呼は、旅客自動車運送事業者にあっては輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所、貨物自動車運送事業者にあっては輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所に限らず、営業所内又は同一事業種類の営業所等間で行うことができる


4.運行管理者等は、遠隔点呼を行う運行管理者等が所属する営業所又は当該営業所の車庫(以下「遠隔点呼実施営業所等」という。)において、当該遠隔点呼実施営業所等が適切に管理する機器・システムを使用して遠隔点呼を行うものとする。なお、遠隔点呼の際、運行管理者等は運転者の所属する営業所名及び運転者が遠隔点呼を受ける場所を確認するものとする。

5.運転者は、遠隔点呼を受ける運転者が所属する営業所又は当該営業所の車庫(以下「被遠隔点呼実施営業所等」という。)において、当該被遠隔点呼実施営業所等が適切に管理する機器・システムを使用して遠隔点呼を受けるものとする。




Ⅲ  機器・システム要件

Ⅲ 機器・システム要件
遠隔点呼に用いられる機器・システムが満たすべき要件は、次のとおりとする。

カメラ・モニター等を通じ、遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が、被遠隔点呼実施営業所等の運転者の顔の表情、全身、酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時明瞭に確認できる機能を有すること。なお、運転者を撮影するカメラは、200 万画素以上、かつ、フレームレートは30fps 以上の性能、運行管理者等が使用するモニターは、サイズは16 インチ以上、かつ、解像度は1920×1080 ピクセル以上の性能を有することが望ましい。

アルコール検知器の測定結果を自動的に記録及び保存するとともに、遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できる機能を有すること。

事前に登録された運行管理者等以外の者が遠隔点呼を行うことができないよう、個人を確実に識別できる生体認証機能を有すること。生体認証機能の例として、顔認証、静脈認証又は虹彩認証等が挙げられる。事前に登録された運転者以外の者が遠隔点呼を受けることができないよう、個人を確実に識別できる生体認証機能を有すること。生体認証機能の例として、顔認証、静脈認証又は虹彩認証等が挙げられる。なお、運転者は乗務割に基づいて認証されることが望ましい。遠隔点呼に必要な以下の情報が遠隔点呼を行う営業所等間で共有され、遠隔点呼時に遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が確認できる機能を有すること。


(1) 日常の健康状態
(2) 労働時間
(3) 指導監督の記録
(4) 運行に要する携行品
(5) 運転者台帳又は乗務員台帳の内容
(6) 過去の点呼記録
(7) 車両の整備状況

遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が、被遠隔点呼実施営業所等の運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況を、平常時と比較して確認できる機能を有すること。

遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が、運行に使用する車両の日常点検の確認結果を確認できる機能を有すること。



補足します。生体認証に、「顔認証」が加わっています。検討会様・国交省様 ありがとうございます。
静脈や虹彩よりも最近は一般的だからでしょうね。。

 


Ⅳ  施設・環境要件

遠隔点呼が行われる場所が満たすべき施設・環境要件は、次のとおりとする。

カメラ、モニター等を通じ、遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が、被遠隔点呼実施営業所等の運転者の顔の表情、全身、酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時明瞭に確認できる環境照度が確保されていること。なお、被遠隔点呼実施営業所等の運転者の顔とカメラの間の照度は500 ルクス程度が望ましい。

被遠隔点呼実施営業所等の運転者の全身及びアルコール検知器の使用時の状況が確認できるよう、被遠隔点呼実施営業所等の点呼場所の天井等に監視カメラ等を備え、遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が必要に応じ映像を確認できること。

遠隔点呼が途絶しないように必要な通信環境を備えていること。

遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等と被遠隔点呼実施営業所等の運転者の対話が妨げられることのないよう、必要な通話環境が確保されていること。


補足します。

「被遠隔点呼実施営業所等の運転者の全身及びアルコール検知器の使用状況が確認できるよう、被遠隔点呼実施営業所等の点呼場の天井等に監視カメラ等が設置され、映像が3ヶ月間以上保存され、かつ、運行管理者等が必要に応じ映像を確認できること」

3ヶ月保存のルールは削除されたようです。
監視カメラ映像の保存は技術的には何でもないことですが、サーバー維持、クラウドカメラ契約コストはかなりのものですからね・・。検討会様・国交省様 ありがとうございます。





Ⅴ  運用上の遵守事項

 

事業者が遠隔点呼を行うにあたり、その運用上遵守すべき事項は、次のとおりとする。

1. 遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等は、地理情報や道路交通情報等、業務を遂行するために必要な情報を有すること。

2. 遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等は、面識のない運転者に対し遠隔点呼を行う場合は、あらかじめ運転者と対面又はオンラインで面談する機会を設け、遠隔点呼を受ける運転者の顔の表情、健康状態及び適性診断結果その他の遠隔点呼を行うために必要な事項について確認すること。

3. 遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等は、遠隔点呼を遺漏なく行うため、運行中の車両位置の把握に努めること。車両位置の把握手段の例として、GPS 等による車両位置管理システムの活用等が挙げられる。

4. 遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等は、被遠隔点呼実施営業所等の運転者の携行品の保持状況又は返却状況を確認すること。確認手段の例として、監視カメラ等による携行品置き場の状況確認、機器・システムによる携行品の有無検出等が挙げられる。

5. 遠隔点呼実施営業所等の運行管理者は、遠隔点呼により運転者が乗務することができないと判断した場合は、直ちに被遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等に連絡すること。また、被遠隔点呼実施営業所等は、交替運転者を手配する等の代替措置を講じることができる体制を整えること。

6. 機器の故障等により遠隔点呼を行うことが困難になった場合に、被遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等による対面点呼又は当該被遠隔点呼実施営業所等で実施が認められている点呼を行うことができる体制を整えること。

7. グループ企業との間で遠隔点呼を行う場合は、必要に応じ、遠隔点呼に必要な情報の取扱い等に係る契約を締結すること。

8. 運行管理者等及び運転者の認証に必要な生体情報、運転者の体温や血圧等の個人情報の扱いについて、あらかじめ事業者が対象者から同意を得ること。

9. 事業者は、遠隔点呼の実施に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規程に明記するとともに、運行管理者や運転者等の関係者に周知すること。

 

補足します。パブコメ時にあった

「4.日常点検の結果に基づく運行の可否決定については、「道路運送車両法の一部を改正する法律等の施行に伴う整備管理者制度の運用について」(平成 15 年3月 18 日付け国自整第 216 号)により行うこと」

は削除されたようです。とくに、遠隔点呼実施の主な要素ではないからかもしれませんが。

  

Ⅵ  運輸支局長等への申請・届出

 

1.遠隔点呼を行おうとする事業者は、下表に定める遠隔点呼を開始しようとする予定月に応じた提出期限までに、別紙1の申請書を遠隔点呼実施営業所等及び被遠隔点呼実施営業所等を管轄する運輸支局長、運輸監理部長又は陸運事務所長(以下「運輸支局長等」という。)に提出すること。

  遠隔点呼開始予定月        申請書提出期限
令和4年7月~令和4年9月    : 令和4年5月31日
令和4年10月~令和4年12月 : 令和4年8月31日
令和5年1月~令和5年3月    : 令和4年11月30日


2.遠隔点呼に使用する機器・システム等を変更しようとする事業者は、下表に定め  る遠隔点呼を変更しようとする予定月に応じた提出期限までに、別紙2の申請書を管轄する運輸支局長等に提出すること。ただし、申請書の記載事項の変更等その内容が軽微なもの(当該変更後においても、本実施要領ⅢからV までに定める要件又は遵守事項に適合することが明白なものをいう)については、変更後遅滞なく別紙3の届出書を管轄する運輸支局長等に提出することで差し支えない。

  遠隔点呼変更予定月        変更申請書提出期限
令和4年10月~令和4年12月 : 令和4年8月31日
令和5年1月~令和5年3月    : 令和4年11月30日

3.遠隔点呼を終了しようとする事業者は、あらかじめ管轄する運輸支局長等に別紙4の届出書を提出すること。


 

 

Ⅶ  附則(実施時期)

1.この要領は、令和4年4月1日から実施する。


なるほど、2022年4月1日から5月31日が以下の申請書の受付期間ということですね。

さて、何社が申請することになるでしょうか? 検討会がさばききれないほど申請が来れば、まさに「遠隔点呼実施場所の結果的な拡大」となります。点呼実施の総量上昇や事業者の生産性に貢献することでしょう。

「要件の拡大」自体が目的ではないですからね。

 

 

別紙1  遠隔点呼の実施に係る申請書

 


 

 

別紙2  遠隔点呼の変更に係る申請書

 



 

 

別紙3  遠隔点呼の変更に係る届出書

 


 

 

別紙4  遠隔点呼の終了に係る届出書

 


 

 

別紙5  遠隔点呼の実施に係る適合確認・宣誓書

 


 

 

別紙6  遠隔点呼の変更に係る適合確認・宣誓書

 




 

 


2022年、遠隔点呼元年となります。

運行管理高度化検討会が承認することになりあしたので、IT点呼とは違い、実績数が公表されてゆくことになると思います。

1年目、どれくらい増えるでしょうかね。

 






記事訂正のお詫び

本記事は、2022年1月9日18時~1月11日13時頃まで、『 遠隔点呼(高度なIT点呼)元年、申請は4月1日から。が、旅客はどんでん返しで「優良」しばり 』というタイトルで公開しておりました。その中で、旅客の遠隔点呼は優良性を問うとの趣旨の解説がありましたが、その後、文言の解釈間違えに気づき、2022年1月11日14時30分時点で、タイトルおよび内容を一部変更致しました。
プラン2025通り、運行管理高度化検討会最終とりまとめ案通り、国土交通省の今回の発出文書では、「どんな業種であっても優良性を問わない」と規定されておりました。上記時間帯にアクセスした方におかれましたは、誤解を与えてしまい、誠に申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。