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来年、ロボット点呼・無人点呼・遠隔点呼実験は終了?継続?R4年国交省概算要求から運行管理の未来に思いをはせてみる。



先週、「国の予算は111兆円」というニュースが流れたかと思います。
国交省の令和4年度予算概算要求も出ていますので、本記事でフォローしてみます。


まず、6月の閣議決定にて。

6月18日、我が国の、全体方針、国家予算コンセプトが決まりました。





  

 

「8月までに提出を」 by 財務省。

 

で、とりまとめ役の財務省が、各省庁に 8月期限で、と告知。

 



で、8月末に締め切られ、各省庁が概算要求を公表しています。合計が「111兆」とのこと。

ちなみに一番多いのが厚生労働省だそうで、「33兆」


文科省が、5.9兆
防衛省が、5.1兆
農水省が、2.3兆
経産省が、1.4兆

 

さて、国交省要求額は・・・


昨日、令和4年度の国土交通省の予算案(概算)が閣議決定されました。
https://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin201221.html

6.9兆。

結構多いですね。。

 

 

国土交通省 施策別予算ランキング

6.9兆。内容は・・・




施策単位での金額ランキングでは、こうなります。

施策名 令和3年(億円)
(4)地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金) 10,291
(3)インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現 8,350
(g)成長の基盤となる社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金) 7,441
(4)豊かな暮らしを支える社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金) 7,441
(f)災害時における人流・物流の確保 5,771
(a)あらゆる関係者により流域全体で行う「流域治水」の本格的展開 5,401
(e)地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備 5,319
(a)効率的な物流ネットワークの強化 4,369
(6)戦略的海上保安体制の構築等の推進 2,488
(a)通学路の合同点検等を踏まえた交通安全対策の推進 2,265
(c)南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策等の推進 2,028
(a)コンパクトで歩いて暮らせるゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進 1,663
(a)ZEH・ZEB の普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化 1,384
(b)多様な世帯が安心して暮らすことができる住宅セーフティネット機能の強化 1,209
(b)集中豪雨や火山噴火等に対応した総合的な土砂災害対策の加速化・強化 1,028
(d)整備新幹線の着実な整備 804
(d)カーボンニュートラルポート等の港湾・海事分野におけるグリーン化の推進 682
(d)密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の促進 663
(f)国際コンテナ戦略港湾等の機能強化 625
(b)PPP/PFIの推進 504
(a)既存住宅流通・リフォーム市場の活性化 393
(a)東日本大震災からの復興・再生 (b)大規模自然災害からの復旧・復興 380
(4)危機に瀕する地域公共交通の確保・維持と新技術の活用等による地域のくらしや移動ニーズに応じた交通 サービスの活性化 329
(b)国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開 240
(b)個性ある多様な地域生活圏の形成 225
(b)グリーンインフラ等のインフラ・まちづくり分野におけるグリーン化の推進 204
(e)鉄道ネットワークの充実 198
(a)地域経済を支える観光の継続的支援と本格的な観光の復興に向けた施策の推進 180
(f)地域の基幹産業の競争力強化のための港湾整備 171
(b)都市の国際競争力の強化 154
(c)海運・造船の国際競争力強化や海洋開発等の推進 154
(c)航空ネットワークの充実 144
(b)公共交通等における安全・安心の確保 134
(e)災害対応能力の強化に向けた線状降水帯等に関する防災情報等の高度化の推進 132
(a)ビジネスでの利活用に向けたデータ基盤や提供環境の整備 109
(c)空き家対策、所有者不明土地等対策及び適正な土地利用等の促進 76
(a)デジタルトランスフォーメーションの推進 70
(d)離島、奄美群島、小笠原諸島、半島、豪雪地帯等の条件不利地域の振興支援 60
(d)建設業、運輸業、海運・造船業、宿泊・観光業における人材確保・育成 38
(e)持続可能航空燃料(SAF)の導入促進や空港の再エネ拠点化等の航空分野における脱炭素化の推進 36
(c)インフラシステム海外展開の戦略的拡大 35
(c)スマートシティの社会実装の加速 23
(e)民族共生象徴空間(ウポポイ)を通じたアイヌ文化の復興・創造等の促進 23
(b)オープンデータ・イノベーション等による i-Construction の推進 12
(c)自動車の電動化促進と電動化に対応した道路インフラの社会実装の推進 9
(d)次世代モビリティの普及促進 4


いくつかピックアップします。


予算策定中に、千葉県八街市の事故発生。

早速追加、と思いきや・・。


実は今年(R3)の予算にもともと入っていた
「通学路の安全」

 

1930(R3)→2265億(R4)ですから、かなりの増額であることは確か。


また、八街の直後に起きた静岡県熱海市伊豆山の災害を受けてのコラム。

 



金額順の施策をみると、やはり大きい予算は、道路建設等、インフラ整備系が多い印象です。

 


各部局別、金額ランキング


さて、国土交通省は、多岐にわたるミッションがあり、チームも多岐にわたっています。

 

では、どの部局がいちばん多く予算を使うのでしょうか?



部局 R4年予算 R3年予算 増減 前年比
北海道局 690,134 571,858 118,276 1.21
港湾局 306,600 257,900 48,700 1.19
海上保安庁 252,711 222,104 30,607 1.14
住宅局 215,690 179,813 35,877 1.20
都市局(国費) 151,070 126,166 24,904 1.20
鉄道局 128,862 107,470 21,392 1.20
国土政策局 102,951 89,981 12,970 1.14
自動車局 64,879 61,718 3,161 1.05
気象庁 58,977 53,715 5,262 1.10
官庁営繕部 42,441 31,596 10,845 1.34
総合政策局 37,585 30,518 7,067 1.23
道路局(国費) 24,564   24,564 1.19
不動産・建設経済局 19,207 16,719 2,488 1.15
観光庁 17,735 14,809 2,926 1.20
水管理・国土保全局 11,331 9,716 1,615 1.17
海事局 11,046 9,154 1,892 1.21
航空局 7,423 6,538 885  
単位 百万


 

本サイトで扱っているのは、おもに、陸・海・空の安全ですが、ここに該当する自動車局、鉄道局、海事局、航空局は、やはり国土建設系からすると、規模は小さくなりますね・・。でも昨今の災害頻発状況を見ると、治水や道路は確かに重要であると感じます。


 

さて、事業用自動車(トラック、バス、タクシー)行政の予算詳細は?


すみません、やっと本題にたどり着きました。


 




 

 

金額順です。


施策名 R4年 R3年 増減
重度後遺障害者に対する介護料の支給等(支給対象の拡充) 4,095 3,945 1.04
自動車登録検査関係手続のデジタル化 3,325 - 皆増
先進安全自動車(ASV)やドライブレコーダー等の導入支援 1,015 853 1.19
産学官連携による高効率次世代大型車両開発促進事業 851 283 1.34
地域交通のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進 846 474 1.78
自動車の技術・基準の国際標準化等の推進 395 342 1.15
介護者なき後を見すえた受入環境整備の促進 379 324 1.17
障害の態様に応じたリハビリテーションの機会確保等 292 173 1.69
自動運転(レベル4)の法規要件の策定 200 - 皆増
無車検車・無保険車対策の強化 156 111 1.41
 先進安全自動車(ASV)プロジェクトの推進 150 122 1.23
トラック運送業における働き方改革の推進 100 85 1.17
電気自動車等の技術基準の策定 92 47 1.98
自動車整備業の生産性向上と事業基盤強化 85 83 1.03
健康起因事故防止対策の推進 70 55 1.27
点検整備の促進 67 67 1.01
自動運転技術に対応した関連諸制度(整備・検査・型式認証)の高度化 64 56 1.15
ポストコロナにおける持続可能な旅客運送事業の構築 60 - 皆増
自動車の脱炭素化に対応するための整備人材の育成・確保 60 - 皆増
自動車運送事業者に対する監査体制の強化 55 54 1.02
次世代自動車の総合的なCO2排出量評価手法の構築 50 - 皆増
高齢運転者等による事故防止対策の推進 50 35 1.43
自動運転車等事故分析事業の推進 40 38 1.07
自動車運送事業の運行管理の高度化 34 24 1.45
避難中の車内被災の防止等を目的とした車載通信装置の国際標準化 30 24 1.27
大雪時の大型車の立ち往生発生防止 30 - 皆増
自動車整備業に係る各種申請手続のデジタル化 24 - 皆増
カーボンニュートラルに向けた輸送形態の構築 22 - 皆増
無人自動運転サービスの全国展開 21 19 1.11
バス車内事故防止対策の推進 20 11 1.87
中型車道走行型・自動配送ロボットに係る制度の整備 20 20 1.02
危機時等におけるトラック運送業の「強靱性の確保」 18 20 0.92
自動車運送事業に係る各種申請手続のデジタル化 17 - 皆増
 未認証工場対策 17 14 1.20


では、コロナ関連、運行管理関連、安全政策関連をいくつかピックアップしてみます。


持続可能な×DX・・



新規で6000万は大きいですね。コロナ禍があってもなくても、いずれ少子化で業界再編が想定されていたわけですが、コロナ禍によって、よりくっきりした「課題」に対応するのだと思われます。「持続可能な」の響きが、縮小再生産にならないよう行政側にも思い切ったアイディアが必要と思われます。



働き方改革始めて、はやXX年・・



運行管理高度化検討会、別名、ロボット点呼・無人点呼 検討会

 


ココの予算です。


https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html


R4年 2400万→3400万に増額。


今年R3年度 運行管理の高度化




でました点呼における、「無人」概念。

<令和3年の運行管理高度化>
「AI等を搭載する点呼機器を活用することにより、運行の安全性を対面点呼よりも高い水準で確保する」
「運行管理者による判断や指示に比べ高い水準での安全性を担保するため、点呼機器の認定制度の構築に向けた実証調査を行う」


 

<R4年版 運行管理高度化>
点呼の自動化(確認・指示業務の一部又は全ての無人化)について、実証実験を通じて、運行管理者による点呼と同等以上の安全確保が可能なAI等搭載機器の認定制度を構築する。



点呼自動化、いわゆるロボット点呼部分ですが、よりいっそう進めよう! ということのようです。
自動車局が、「無人」という用語を使い始めました。


手続きデジタル化

新規で1700万計上されました。





デジタル庁も創設されましたしね。そりゃあ、手続き・審査はオンライン化予算が計上されていないとおかしいですよね。



電子車検証へむけて。




ICタグ方式にきまった車検証の電子情報化ですが、33億計上され、いよいよ本格的に。


●車検証ICタグの情報を利用したOSS申請入力補助
電子車検証(令和5年1月導入予定)のICタグ内に格納された
車検証情報をOSSポータルサイトに自動入力する。

ん?   入力補助??


カーボンニュートラル時代に、トラックや整備業界はどう適応するか?


CNの予算が、グイっと入ってきてます。国家政策ですからねえ。





自動車事故対策支援推進事業は来年ある?

来年もこの事業予算があるのか・・・

 

 あ、ありました。


R4年 ASV枠に、アルコールインターロックの表現が。


ちなみに、過去の予算資料では、下記のように、アルコールインターロックはすっかり絵からはずされてました。
やっと、ASVとして認知か。いよいよ、EDRやバックカメラのように、保安基準にも・・と期待したいところ。


R3年版 アルコールインターロックはASVカテゴリーではない、的な。


実際は、全日本トラック協会の助成金として、国の予算が使用されています。

プラン2025 飲酒運転根絶施策


プラン2025でやる!とされていた、下記の件。

 

プラン2025 P7
飲酒運転事故件数の近年の下げ止まりへの対応



R4年の





○アルコール依存症による事故防止に向けた調査飲酒運転を引き起こすおそれのあるアルコール依存症者に対し、事業者による指導監督を推進するため、運転者に自身の飲酒傾向
の自覚を促す方法についての調査を実施する。


いまから方法についての調査という・・・。


OBD車検や、自動運行装置の車検への対応


自動運転時代へむけて、整備のあり方もかわりつつあるようです。

OBD車検や自動運行装置の検査手法確立へむけて


  

全省庁共通でしょうが、あらゆる施策は、デジタル技術、ICT技術がからみます。どうみても、法令や規制側がおいついていない感じです。

民間側のデジタル化実装スピードと、規制緩和スピードの差異というか・・・。

そもそも、従来の「実証実験をやってから」という考え自体が古典的に思えてくる今日この頃。

そういえば、国交省が、「アジャイル」と言っていたあの政策はどこにいったのでしょうか。若手が集まっていたはず・・。


POCのためのPOC的な方式は、行政側の「エビデンス」という大義名分(だれも逆らえない)とあまりにも相性がよすぎて、心配です。検討会に参加している方の、年齢や性別も、ダイバーシティ・インクルージョン観点でいえば、とほほ・・・な気がします。


中国、韓国、台湾等、デジタル免許証や、アルコールインターロック法制化等、デジタルをからめた法制度の実現スピードが早いです。欧米どころか他のアジア諸国と差が開く一方、という印象です。こららの国の予算表はどういう内容なのでしょうかね。


 

以上、2022年という時代の、国土交通行政予算を読んでの感想でした。




あわせてお読み下さい。

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