河野大臣は、IT点呼のGマーク縛り廃止を、いつかつぶやくだろうか?
ご存じかと思いますが、行政改革、規制改革担当大臣です。
ツイッターで、IT点呼を全事業者に! とは呟く日くるかなあ・・? というお話です。
2021年6月18日 官邸で臨時閣議が行われ、河野大臣より、「規制改革実施計画」の説明があり、閣議決定されました。
規制改革実施計画に、「IT点呼」。
「生産性向上に向けた物流改革」という項目があり、6つの施策が示されています。
その1
a 国土交通省は、「年末年始及び夏期等繁忙期におけるトラック輸送対策について」(平成 15 年2月 14 日自動車交通局貨物課長通達)に関して、平成 30 年 11 月から 12 月に実施したパブリックコメントや、コロナ禍をめぐる物流に対す需要が大幅に増加している現下の情勢等も踏まえ、対象時期等の見直しを含む必要な通達の改正を行う。
その2
国土交通省は、上記通達の改正後の状況をモニタリングしつつ、ラストワンマイル配送において当該通達でもカバーできない具体的なニーズについて、利用者の利便性向上の観点から定量的・定性的な実態調査を行い、報告書を取りまとめる
その3
c 国土交通省は、優良事業者のみに認められている他営業所の運転者に対するIT点呼を、ITの進展を踏まえて全ての事業者で実施できるよう拡大する等、運行管理の高度化を進める。具体的には、「運行管理高度化検討会」(令和3年3月設置)における実証実験を通じて、IT点呼の対象拡大に向けた機器の性能要件の設定や、自動点呼の導入に向けた点呼支援機器の認定制度の構築を行う。
その4
国土交通省は、規制所管府省や荷主、運送事業者と連携し、下請取引改善に関して、対策のガイドラインの効果検証及び他品目への横展開を進める。あわせて、荷主団体等に対する一層の理解醸成・協力要請を含め、取引環境・長時間労働の改善に向けたガイドラインの周知・浸透について具体的な対策を実行する。
その5
e 国土交通省は、関係府省庁や荷主、運送事業者と連携し、共同配送等の実現に向けた標準化実行計画の速やかな実行を推進するとともに、荷主団体等に対する理解醸成・協力要請を行う。
その6
f 国土交通省は、宅配事業の生産性向上並びに消費者の利便性向上に資する置き配に関して、消費者の利益が適切に確保されるよう留意しつつ、事業者の約款を認可する。
タクシーのIT点呼
タクシーの利便性向上のため、3つの施策が掲げられています。
その1
a 国土交通省は、現行のタクシーメーターと代替可能なソフトメーターの導入に向けた制度設計を進める。具体的には、「ソフトメーターの導入に向けた検討会」(令和3年3月設置)において正確性の担保を始めとする残課題を精査し、結論を得る。なお、ソフトメーターが具備すべき機能やその活用に関しては、配車アプリ事業者等の参画も得つつ検討し、輸送等のデータを活用したタクシーサービスの高度化に取り組む。
その2
b 国土交通省は、変動運賃制度の在り方について検討を進める。その際、海外の実態調査や実車による実証、利用者の意向把握等を丁寧に行う。また、地域・曜日・時間帯・天候等、様々なケースにおける需給やマッチングデータ等を取得し、配車アプリ事業者等の参画も得てエビデンスに基づく議論を行う。加えて、公共交通機関として利用者の理解が得られる、妥当な変動幅となるよう留意す
る。
その3
c 国土交通省は、隣接敷地・近距離の営業所と車庫間でのみ認められている現行のIT点呼を、ITの進展を踏まえて遠距離を含む営業所間でも実施できるよう拡大する等、運行管理の高度化を進める。具体的には、「運行管理高度化検討会」(令和3年3月設置)における実証実験を通じて、IT点呼の対象拡大に向けた機器の性能要件の設定や、自動点呼の導入に向けた点呼支援機器の認定制度の構築を行う。
いまだ曖昧、「IT点呼を、バス、タクシー、トラック、すべての運輸事業所に解禁」。Gマークしばり、廃止か?
押し問答状態なのでしょうか? 実施計画にある
「c 国土交通省は、優良事業者のみに認められている他営業所の運転者に対するIT点呼を、ITの進展を踏まえて全ての事業者で実施できるよう拡大する」
おそらく、トラックのGマーク制度におけるIT点呼の位置づけを指していると思われます。
「c 国土交通省は、隣接敷地・近距離の営業所と車庫間でのみ認められている現行のIT点呼を、ITの進展を踏まえて遠距離を含む営業所間でも実施できるよう拡大する」
これは、タクシー業態でのI点呼実施態様の拡大イメージですよね。
さかのぼること2021年3月17日。この内容は、そもそも、新経済連盟の
にある
に、具体的な改革提言がなされています。
①実施できる対象が限定されているため、運行管理者の業務負担軽減は限定的。
ほんとそう思います。働き方改革を進める一方で、改革できる可能性のある部分については、改革しないのはおかしいですよね。
②対面書面押印などアナログ原則見直しという政府の方針がある中で、IT機器による点呼を実施できる範囲を限定する合理的な理由が乏しい。(対面で求めていた要素を因数分解してIT機器を活用した場合の安全性担保ルールを作成することで足りる)
合理的な理由が乏しい。
まさに、そう思います。
■対面規制により要求していた安全性確保等のための事項を因数分解⇒当該事項を技術中立/手段中立の考え方で遵守させることをルールとするべき(性能規定化)。
※一般用医薬品のネット販売解禁、不動産IT重説の解禁時のルール設定のときの議論やルール内容が参考になる。
■IT点呼について広く解禁して対面と同等の方法と位置付けるべき。その際、対面と非対面の方法につきイコールフッティングであることが不可欠。
同感・同意です。
さまざまな企業が、大、中、小、限らず、IT技術を積極的に活用して、中小企業支援策や税制も「IT」化や「デジタル化」を後押ししているのに、中小企業の多い業種であるバス、タクシー、トラック業界において、「安全」や「優良」でないことを理由に、世界的規模で始まっている企業の競争力の源泉であるデジタル化に制限をかけるというのは、何という制度なのでしょう。
税制措置、中小企業支援策の「機会の平等性」観点でも、違和感アリアリです。
新経済連盟は、そこを言っているのではないでしょうか。
安全が担保できない?
それを検証するためにも、IT化されたインフラが必要なのです。
■なお、今後のDX促進のためには、『対面書面押印原則撤廃』の次のステップとして、『自動化・無人化対応の規制改革』という手法を、物流を含めてすべての分野において展開すべき。
(自動運行管理や無人での各種検査・監査・調査・管理の可能性等)
・・新経済連盟も、ツッコミが甘いですね。
IT点呼の解禁要望を挙げる上で、もっともシンプルかつ重要なエビデンスが隠されていることに、気づきませんか?
なぜ、国土交通省殿に、全国の運輸局が把握している「はず」の
「IT点呼実施営業所」
「被IT点呼実施営業所」
「遠隔地IT点呼実施営業所」
「被遠隔地IT点呼実施営業所」
の集計および公表を依頼しないのでしょうか?
「IT点呼実施事業者、事業所の点呼実施率、事故率」
を、
「対面点呼のみの営業所の点呼実施率、事故率」
これらを検証せずに「対面と同等」と言いうる根拠にならないです。
安全の論点を持ちだされると。
最後に、国土交通省、規制改革会議、投資等ワーキンググループ、運輸メディアにお聞きしたい。
国土交通大臣が定めた点呼機器(IT点呼機器、遠隔地IT点呼機器)は、現在、何事業所で使われていますか?
いまこれを明らかにしないと、いざIT点呼が広まった場合でも、いつどの時点で何事業所であって、規制改革したからどれくらい広まったのか?
ビフォーアフターを政策評価できないと、タイヘンなことになると思います。
難しいことは言っていません。
行政には、持っている情報で、誰も困らない情報は積極的に公開してほしいだけです。特にIT点呼の実施事業所数なんて、公表して不都合な関係者、ひとはいるだろうか?
是非、河野大臣には、つぶやいてほしいですね。
来年3月くらいには「IT点呼を、全運輸事業者に解禁しました!」と。
河野大臣の写真は、管内閣 閣僚名簿
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/meibo/daijin/kono_taro.html
から加工して作成