アルコールチェックをしないとエンジンがかからない!車載型飲酒運転防止システム『呼気吹き込み式アルコール・インターロック』 2020年の出荷実績
点呼機器及び運行管理用アルコール検知器を開発販売する東海電子株式会社(本社:静岡県富士市 代表取締役 杉本 哲也)は、この度、運転前にアルコールチェックを行い、検知されるとエンジンがかからない車載型飲酒運転防止システム『呼気吹き込み式アルコール・インターロック装置』(*)の2020年度の実績と普及状況(2020年12月31日時点)をお知らせ致します。
1)2020年時点のトラック業界における飲酒運転実態
2011 年 5 月 1 日、点呼におけるアルコール検知器の使用の義務化が施行されてから 7 年が経過しました。
現在、法令上、トラック、バス、タクシー等 8 万を超える運輸・交通事業者は、必ず、アルコール検知器を設備として事業所に備え、点呼時の酒気帯び確認時に、これを使用しなければなりません(別紙1)。
また、遠隔地での電話点呼においても、アルコール検知器を使用しなければならないとされており、アルコールインターロックは特に、「自動車に設置されているアルコール検知器を使用させる」機器として明確に位置づけられています(別紙 2-1,2-2)。
このように、アルコール検知器の義務化とは、いかなる点呼においても必ずアルコール検知器が使われており、点呼が 100%実施されていれば、誰一人として酒気を帯びたドライバーは路上には存在しない、まさに「飲酒運転ゼロ」を目指した規制強化でありました。
2)2020年時点のトラック業界における飲酒実態
ところが、アルコール検知器義務付けが行われたものの、 近年、ゼロに向かうどころか、下げ止まり状態となっています。トラック業界にいたっては、直近では前年比増という事態になっています(別紙 3)。
とくに、2019 年に国土交通省、運輸安全委員会から公表された事故調査報告書によって、フェリー使用時のトラックドライバーのおそるべき飲酒実態が明らかとなり、「隠れた飲酒文化」に業界および社会が驚愕しました。
3)呼気吹き込み式アルコール・インターロックの出荷実績
当社は、2009 年 9 月から、運転前に呼気検査を行いアルコールが検知されるとエンジンがかからない飲酒運転防止システム「呼気吹き込み式アルコール・インターロック」を販売しています。現在、アルコール検知器は多種多様なものがありますが、「運転前に必ず呼気をチェックし記録を残し、検知したらクルマが動かない」、このような強制力のある検知器は、アルコールインターロック装置だけです(別紙 4)。
このように、突出した飲酒運転抑止力を持つアルコールインターロック装置(製品名:ALCZERO)ですが、皮肉にも、ここ5年、トラック業界での飲酒運転の下げ止まり・増加傾向とは逆に、やや低調な推移となっています。
4)トラック協会の助成制度
全日本トラック協会においても、トラック業界での飲酒運転ゼロを目指し、このアルコール・インターロック機器を、例年、購入補助の助成金の対象としています。
<令和2年度安全装置等導入促進助成事業について>
また、各県ごとのトラック協会でも、独自でアルコール・インターロック装置への助成制度を設けているところがあります。
<2020年度各都道府県トラック協会助成金情報 20201228版>
5)アルコールインターロック、日本以外の状況
海外では商用車よりも、「飲酒運転違反者への罰則として、アルコール・インターロック装置を強制的に装着させる」方式が一般的です。米国では、未だに「毎年30万人」があらたにインターロック装着させられているほど、一般ドライバーによる飲酒運転が多い状態です。
【アルコールインターロック装着レポート 2018年】
欧州でも近年、EU の交通安全ビジョンのうち、EU 加盟国へ、アルコール・インターロック装着を促す政策が促されている状況です。
【欧州におけるアルコール・インターロック法制化状況】
また、近年、韓国や台湾においても、アルコール・インターロックの導入が検討されているとの報道が一部あり、飲酒運転ゼロを実現する国際的な趨勢が注目されています。
【台湾 アジア初アルコールインターロック法規制】
【韓国 国会提出アルコールインターロック法、廃案に】
6)日本政府への提言
前述の 2019 年 7 月のトラックドライバーによる飲酒運転事故の調査報告書において
『(2) アルコール・インターロック装置
近年、運転者の飲酒運転を未然に防ぐための装置として、呼気吹き込み式アルコール・インターロック装置の技術開発が進んでおり、このような装置が装備されて いれば、本事故においても、運転者の呼気中のアルコール濃度などを計測し、エンジンの始動ができなくなることで、事故の発生を未然に防止できた可能性が考えられる。自動車メーカー、機器メーカー、国土交通省等の関係者においては、この種のシステムの確立等、予防安全対策装置の開発・普及に取り組む必要がある』
とある。
欧米のアルコール・インターロック装置の装着事例を鑑み、当社として、日本の運輸行政に対して、以下、「運輸行政におけるアルコール・インターロックの装着義務&アルコール教育義務づけハイブリッドプログラム」を提言したい。真に飲酒運転ゼロを実現するには、貨物自動車運送事業法 輸送安全規則 解釈および運用に関する通達の改正が必要である。
1.運輸局に、飲酒運転を引き起こした事業者に対し、全車両のアルコール・インターロック装置を義務づける権限を付与する
2.2年間、装着されたアルコール・インターロックのメモリに、酒気帯び検知の履歴なきことを条件として、アルコールインターロック装置の装着を解除する。事業者は、装着期間中全車両のインターロックデータを 2 ヶ月ごとに運輸局に提出し続ける。
3.アルコールインターロックの装着費用は、行政罰とみなし、事業者の自己負担とする。
4.該当事業者の全運転者に対し、アルコールに関する研修受講を義務づける。
5.実質年間100台に満たない購入補助制度などではなく、上記 1~4の制度設計を、貨物自動車運送事業法 輸送安全規則 解釈および運用の通達の改正をもって行う。
当社は、プロドライバーの飲酒運転ゼロの実現なくして、年間2万件以上もある日本の一般ドライバーによる飲酒運転ゼロ実現は不可能であると考えています。運輸行政は、決して、悪意ある飲酒運転者に、「プロドライバーでさえ飲酒運転している」と言わせない政策を実現すべきである。
出典:国土交通省 平成 24 年 4 月 4 日 報道資料より
アルコールインターロック装置『ALC-ZERO』
操作方法などを動画にてご覧いただけます。