マイナ運転免許証。正式には道路交通法上「特定免許情報記録個人番号カード」。マイナ運転免許証のパブリックコメント開始。警察庁はいつ「読み出しアプリ」を配布するのか? ・・現状不明点が多いと言わざるを得ない。
話は5年前に遡る。
時はコロナ禍前夜。2019年12月と2020年3月。
出典
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12187388/www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/h31_dgov-plan.html
この当時、マイナンバーカードと運転免許を一体化する話は無かった模様。もちろん、スマホ運転免許証の話もない。
Ⅱ 国民等
民間事業者等と国等との間の手続 自動車安全運転センターによる各種証明書発行サービスの利便性向上(◎警察庁) 交通事故証明書の交付(手続ID:2665)について、損害保険会社における業務の効率化及び交通事故の当事者への迅速な保険金支払等を可能とするため、オンライン申請を実施する損害保険会社の拡大を図る。 また、運転経歴に係る証明書の交付(手続ID:2666)については、Webサイトからダウンロードが可能となっている企業一括申請に係る申請書及び委任状の様式の利用拡大を図り、一括申請を行う企業等の事務負担が軽減されるよう努める。
この程度であった。
この工程表でも言及されていない。
2020年3月
2020年3月31日、政府CIO連絡会議において、デジタル・ガバメント実行計画(上記、令和元年12月20日閣議決定)に基づき、各府省のデジタル・ガバメント中長期計画の改定が報告されている。
1発目の新型コロナウィルス緊急事態宣言 の直前だ。
この時点で、警察庁は運転免許行政とマイナンバーカードを一体化する考えをもっていたか?
いや。
警察庁の行政デジタル化中期計画を見てみよう。
(3) 重要プロジェクトの推進
ア 行政手続の更なる利便性の向上に係るシステム整備 運転免許証は、国民生活に密着したライセンスとして広く普及しており、運転免許証の交付、更新などの手続に関しては、より一層国民の利便性向上や負担軽減が求められている。また、運転免許の管理等を行う運転者管理システムをはじめとする警察情報管理システムについては、警察庁及び都道府県警察が個別にシステム整備を行っており、同じ仕組みを複数構築運用するなど整備・維持に係るコストの増大などの課題がある。 これらの課題を解決するため、警察庁において、警察庁及び都道府県警察が活用する共通基盤を整備し、他のシステムとの連携も含めた警察情報管理システム全体の合理化・高度化に取り組む。具体的には、2019 年度の調査研究を基に、2020 年度から新システムの構築を行う。2022年度以降、順次、警察庁及び都道府県警察のシステムを移行する。 これにより、システムの機能の合理化・高度化による国民の利便性向上や負担軽減を図るとともに、行政手続の処理の効率化や警察情報管理システムの整備・維持に係るコストの大幅な削減に取り組む。
KPI:新運転者管理システムの開発進捗
イ 運転経歴証明書とマイナンバーカードの一体的使用
マイナンバーカードと運転経歴証明書の一体化等の観点から、別紙6の工程表に沿って、都道府県警察の運転免許センター等の交付窓口において、同証明書が発行済であることを表示するシールを交付する。
この頃は、「いやーよくわからないマイナカードと運転免許一体化? とんでもない。まずは運転経歴書で勘弁してくれよ~」という運転免許課の声が聞こえてくるかのようだ。
一方で、警察庁は運転免許行政(システム)については、中期IT投資を行いつつあった。行政の効率化、ビッグデータ化、オープンデータ化の波はコロナ禍よりずっと前から来つつあったのだ。
キーワードは、「共通基盤システム」と「運転者管理システム」だ。
警察庁 別紙 1
警察庁 別紙2
成人の身分証明書として多く使われている「運転免許証」は、民間企業(例えば銀行)にとっても重要だ。マイナ運転免許証になったら、「個人」の特定は、マイナカードでいいじゃないかと思うのだが。どうなる? 何が何でも「特定免許情報」じゃなきゃいけないのか?
別紙4(免許絡みを抜粋)
別紙5
「一体化」とはひとことも出てきていない時期。
「いやーよくわからないマイナカードと運転免許一体化? とんでもない。まずは運転経歴書で勘弁してくれよ~」 って聞こえる。総務省と警察庁の綱引きが目に見えるかのようだ。
2020年7月
世の中は、遠隔XXや、テレワークが本格化。デジタル化機運が一気に進んだ。
在留カードとマイナンバーカードとの一体化について検討を進め、令和3年中に結論を得る。また、運転免許証について、海外の事例を踏まえつつ、発行手続やシステム連携の在り方等を含めた検討を開始する。あわせて、自動車検査証及び自動車検査登録手続についても、マイナンバーカードを活用した手続の一層のデジタル化の推進に向けて、検討を開始する。この他、各種免許・国家資格、教育等におけるマイナンバー制度の利活用について検討する。必要に応じて共通機能をクラウド上に構築する。民間技術を更に積極的に活用してマイナポータルの利便性の向上を図る。
粘ってる。
が、一方でIT投資の方は
(5) 運転免許業務及び警察情報管理システムの合理化・高度化による国民の利便性向上
運転免許証は、国民生活に密着したライセンスとして広く普及しており、運転免許証の交付、更新などの手続に関しては、今般の新型コロナウイルス感染防止の観点から、運転及び更新可能期間の延長措置等を実施しているところであるが、より一層国民の利便性向上や負担軽減が求められている。 他方、運転免許の管理等を行う運転者管理システム23をはじめとする警察情報管理システム24については、警察庁及び都道府県警察が個別にシステム整備を行っており、同じ仕組みを複数構築運用するなど整備・維持に係るコストの増大などの課題がある。 これらの課題を解決するため、警察庁が警察庁及び都道府県警察が活用する共通基盤を整備し、共通基盤に警察庁及び都道府県警察のシステムを移行して、他のシステムとの連携も含めた警察情報管理システム全体の合理化・高度化に取り組む。これにより、システムの機能の合理化・高度化による国民の利便性向上や負担軽減を図るとともに、行政手続の処理の効率化や警察情報管理システムの整備・維持に係るコストの大幅な削減に取り組む。
コロナ禍に入って、デジタル活用の考え方が世の中でガラリと変わる頃だ。
上記、注釈が重要だ。
23
全国の運転者に関する情報(運転免許に関する情報等)を管理し、都道府県警察による運転免許に関する登録及び照会対応や各種統計の作成等の業務において利用するため、警察庁及び各都道府県警察においてそれぞれ整備されているシステムのこと。
24
第一線警察活動の支援、犯罪捜査活動の支援、迅速な警察行政への貢献、関係機関との連携の円滑化等様々な警察活動を支えるため、警察庁及び各都道府県警察においてそれぞれ整備されているシステムのこと。具体的には、運転者管理システム(上記注釈参照)や犯罪捜査等に必要となる情報の迅速な活用のための全国的情報処理センター用電子計算機等がある。
2021年 デジタル庁 発足
2021年(令和3) 重点計画
② マイナンバーカードと運転免許証との一体化の実現 令和6年度(2024年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024年度)末までに警察庁が整備する共通基盤(警察共通基盤)上に集約する
方針としては、2020年12月末から重点計画2021年12月にかけて、どこかの審議会で決まった模様(決定議事録探せず)。
ここからはもう既定路線。
2022年4月
2022年4月の国会審議を経て、いわゆる「マイナ運転免許証」の道交法改正案が可決された。
この法案では、マイナ運転免許証のことを
「特定免許情報の個人番号カードへの記録」
と表現している。
95条である。
(特定免許情報の記録等)
第九十五条の二
免許(仮免許を除く。以下この条において同じ。)を現に受けている者のうち、当該免許について免許証のみを有するもの並びに免許証及び第四項に規定する免許情報記録個人番号カードのいずれをも有しないものは、いつでも、その者の住所地を管轄する公安委員会に、その者の個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。以下同じ。)の区分部分(同法第十八条に規定するカード記録事項が記録された部分と区分された部分をいう。以下同じ。)に当該免許に係る特定免許情報を記録することを申請することができる。
2022年6月
法案成立により、重点計画令和4年版には、はっきりとマイナンバー運転免許証のことが記載されることとなった。
② マイナンバーカードと運転免許証との一体化の実現
令和6年度(2024 年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024 年度)末までに警察庁が整備する共通基盤(警察共通基盤)上に集約する。また、当該一体化に伴う相当の行政コストの削減効果が得られる場合は、関係省庁と連携し、マイナンバーカードの普及促進の観点も踏まえ、運転免許証の更新手数料の引き下げなど利用者負担の軽減を検討する。
2023年6月
② 運転免許証との一体化 2024 年度(令和6年度)末までの少しでも早い時期に、マイナンバーカードと運転免許証の一体化の運用を開始する。
この段階になると。「より早く」モードである。
2024年7月
警察庁は、特定免許情報に対応する 免許証の仕様(Ver10)を公表。
そして、9月13日 パブリックコメント開始。
ニュースでも大きく取り上げらた。
ニュースの元になっていたのは、このパブリックコメントである。
新しい手数料案 一覧表もここにある。
2023年9月 マイナ運転免許、読み取りアプリの入札情報(警察庁)
2023年 警察庁は アプリ?をつくる業者の入札を行った模様。
アプリとは、警察が取締りで使ったり(行政使用とでも言おうか)、金融機関が本人確認を行うためマイナ運転免許証を本人確認書類とする場合のアプリ(民生用とでも言おうか)、どちらに該当するのかは不明。
2024年2月 マイナ運転免許、読み取りアプリ 落札情報
上記の入札に対し、兵庫県の企業が落札した模様。
この アプリ開発を落札した (株)ドーン という企業が 年末あたりに警察庁に納入し、来年の2月あたりに、国民にむけて、警察庁が 広報を始めるのであろう。
「特定免許情報 読み出しアプリ for マイナ運転免許証」的なものを。
IC免許リーダー関連製品(ALC-PRO2、ALC-miniⅣ、運輸安全uni、e点呼セルフ(ロボ点呼の免許証リーダー)等、東海電子製品、どうなる?
当社(東海電子)としては現時点で各方面から情報を集めているが、不明な点が多い状況である。
スマホ運転免許証は?
デジタル庁の検討会情報によれば、普通にスマホ運転免許証アプリも構想されており、マイナカードのアプリの次の施策となろう。
9月13日の検討会資料。
に「基本4情報等を記録するmdoc」と述べられている。
もう、準備は進んでいるであろう。
スマートフォンに免許情報を記録するモバイル運転免許証については、デジタル庁が整備中の各種資格者証の情報を格納できる汎用的なシステムの活用を前提に検討を進め、デジタル庁と連携して当該システムの整備状況を踏まえつつ、一体化の運用開始後、極力早期の実現を目指す
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5ecac8cc-50f1-4168-b989-2bcaabffe870/8b045435/20240621_policies_priority_outline_12.pdf
警察庁も令和4年にモバイル運転免許証の調査を行っている。
マイナじゃない運転免許(従来)、マイナ運転免許、スマホ運転免許、3択の世界?
どうなるマイナ運転免許? どころか、どうなる われわれの情報?
「日本の情報」は、結局海外のテック企業頼りに・・・?