早い者勝ちじゃあない。賃上げする者勝ち。
本年度の国土交通省直轄の助成金が始まりました。
今話題の自動点呼は、昨年から補助対象となっています。
当社について言えば、昨年はロボット点呼機器の登録に間に合いませんでしたが、今年からロボット点呼機器も補助対象製品として登録されています。
賃上げのために
政府はあらゆる業種で、あらゆる政策で、あらゆる補助事業で、「賃上げ」をブッこんできています。
今般の国交省直轄の補助事業(上記、ASV、運行管理高度化機器、過労運転防止機器、教育コンサル等)すべてにおいて「1.5%」の賃上げ事業者に対して、優先的な措置を施すことになっています。
ココです。
⑧ 申請を行う年度の事業年度において、対前年度比で「給与総額」を 1.5%以上増額させる旨を
従業員に表明するとともに、賃上げ実績を示す書類を提出すること。
⑨ 申請を行う年度の事業も暦年において、対前年比で「給与総額」を 1.5%以上増額させる旨を
従業員に表明するとともに、賃上げ実績を示す書類を提出すること。
⑧、⑨については補助金優先採択(※)を希望する補助対象事業者が満たす要件となります。
※ 補助金優先採択とは、自動車事故対策費補助金(自動車運送事業の安全総合対策事業の部)の申請受
付期間において、申請多数により一部申請を不採用とする必要がある場合に令和 6 年度に賃上げに取り
組むことを表明している申請者を優先的に採択するもの
以前は
早い者勝ちでしたが、オーバーした場合は、賃上げ計画・宣誓のない申請は落とされます。
賃上げセットで申請する企業同士ならば、「早い者勝ち」です。
賃上げセット申請 VS 賃上げ無し申請 → 公募割れならば両方通りますが、フルになる場合は前者が優先。
どちらが多いでしょうかね。
国土交通省(TOPPAN)におかれましては、随時、内訳を公開してほしいですね。
また、政策評価、改善の観点からも、最終的な内訳を公開してほしいです。とくに、車載器や点呼機器の内訳など。
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003194.html
補助事業内容によっては社名すら出ていますね。
だんだん増えてくる「しばり」
この補助事業、以前は「中小企業事業者であれば」どんな会社でも、というコンセプトでした。
しかしいつからか、「行政処分実績しばり」「運輸安全マネジメントしばり」が加わり、助成対象事業者をなんらかの条件で絞るようになってきました。
そしてついに昨年からは「賃上げ優遇」。
事業者に対し、導入費用(カネ)削減・最小化を意図して補助金を出す考えはもう古いのかもしれません。
より国の方針、監督官庁の施策にあった事業者だけがゲットできる方向はずっと続くのではないかと思います。
骨太方針を実現させるために、細部で政策コンセプトが具現化されなければなりません。
~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~
まさに「賃上げ1.5% ✕ 投資(ロボット点呼導入による生産性改善)」。
でも、なんだか、中途ハンパですね。誰の、何のための補助金?
私見
私見です。
今後この補助金を実施してゆくなら、以下両極端、大胆にどちらかに寄せた方が良いと思う。
極論A)賃上げ宣言事業者「のみ」が申請対象者となれる
極論B)行政処分を受けた事業者(=体制に不備があるとみなす)のみが申請対象者となれる
どうでしょうか?
前者は、優良系ホワイト事業者がよりホワイトになることに税金が投じられるという立て付けです。(助成金申請を行える体制、意思がある事業者=コレ自体を優良事業者系と見なす)
優良、コンプラ遵守に対する報奨の思想です。
一方、補助事業の名称どおり「被害者保護増進等事業費補助金」ならば、重大事故の確率が高い(と見なす)行政処分対象事業者(警告以上)こそ、体制をしっかりするための高度化機器や点呼機器を優先的に導入させるべき、と考える。これは、再発防止に本気で投資するなら国が補助するよ、という投資を強要する罰則的な思想。
ここをみてください。関東運輸局が6月に公表した 監査の年報です。
ほら、万年2位です。点呼はいつでも法令違反率が高いのです。
優良系事業者の点呼実施率や体制がカンペキに近づくのは素晴らしいですが、現実は上記グラフです。
なので、点呼機器は、点呼違反のあった事業者に優先的に投資させ・助成補助する、と。
優良優遇事業者の安全管理度(象徴的には点呼実施数)は間違いなく向上するでしょうが、優良事業者ではない(例:行政処分複数違反)事業者のほうが、劇的な効果(点呼実施率『大幅』向上)を得られるのではないだろうか・・。路上の安全度のことを言っています。
私見でございました。
「補助金の大義・正義は何であり、どれくらい結果効果を見込むべきか?」 という目的論的な話の。
過労運転防止機器としてIT点呼機器がもう10年以上前から補助対象となっているのに、なぜ点呼違反は根絶に近づいてゆかないのか?
仮説A デジタコ系に補助金を取られており(非公開なので不明)実際は補助金額が低調
仮説B 点呼違反抜け出せない事業者は、補助事業申請する余力などない
なぜ情報公開されないのだろう?? ほんと不思議。
国土交通省はEBPMをうたっているハズなのに・・