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1月15日未明のあの事故。昨年6月5日の判決文に見られる「杜撰」17回、「虚偽」17回という言葉。『バス業界が去年の判決をどのように受け止めているのかも聞きたいです』と、語る遺族の思いやいかに?

 

1月15日に、あの事件のことを思い出すひとは多いと思います。
国土交通省も、貸切バスの安全規制の歴史を一変させたこの事故を忘れることはないでしょう。実際、この週に毎年該当監査が行われます。

軽井沢の事故以後、再発防止の対応策やその後の事故の状況は、いまでもフォローアップ会議で報告されています。
軽井沢スキーバス事故対策検討委員会
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk1_000016.html

運行管理者と社長に下った実刑判決。

行政による監査・処分等はとっくの昔にすべて終わっています。
終わってないのは、裁判です。

昨年6月に、地裁の判決が出ています。


検察と弁護人の苛烈なやりとりから浮かび上がるのは、「よくそこまで違反していられたな」という感想です。本業で違反だらけ。しかも一般監査のあとに故意に虚偽を行ったという。たった8年前にこういう実態(ほぼ事実に思えます)の会社があったことが、あらためて信じられません。

判決文を読むと、なにかうつつの世界にすら感じます。

 

株式会社Cの組織体制
 既にみたとおり、株式会社Cの代表取締役は被告人Aであり、その下に執行役員営業部長のF2がいたが、F2は専ら警備事業を任されており、バス事業部は、取締役ではなかったものの被告人Bが一般貸切旅客自動車運送事業における安全統括管理者とされ、本社営業所内における運行管理者兼整備管理者としても選任され、輸送の安全の確保に向けた運行管理業務を取り仕切っていた。一方、株式会社C運行管理規程4条で規定されている運行管理担当役員は、証拠上、明示的に定められていた形跡がないが、被告人両名、証人E5及び証人E4の供述等からすると、実質的には被告人Aがその役割を担っていたと認められる。そうすると、株式会社Cにおいては、代表取締役である被告人Aが、被告人Bを運行管理者等として選任し、輸送の安全の確保に向けた運行管理業務を被告人Bの一手に委ねる一方で、そうした重責を担う被告人Bの意見を尊重しつつ、与えられた役割を適確に果たすよう被告人Bを指導監督する唯一の責任者として、両名が一体となって株式会社Cにおける輸送の安全を確保する責任を負った組織体制であったと認められる。
⑺ 株式会社Cにおける運行管理の実態等
 ア 事業開始から平成27年2月の一般監査までの状況 株式会社Cでは、平成26年5月にバス事業を開始した当初は、葬儀会社から請け負ったマイクロバスによる送迎業務を行っていた。運転者は、被告人Bのほか、被告人Bが被告人Aに対して報告して承諾を得ながら、以前の職場の同僚であった運転者に声掛けをして集めていた。
 その後、株式会社Cは、被告人Bの進言を被告人Aが承諾しながら、事業規模を拡大し、中型バスに続き大型バスも数台導入され、同年12月頃には、被告人Bの営業活動により、スキーツアーの仕事も請け負うようになった。同月から平成27年3月までのスキーシーズンにおいては、在籍する運転者だけでは請け負った仕事を回せなくなったため、アルバイトや臨時で運転者を雇用するなどしていた。
  株式会社Cでは、主に被告人BやD2らの声掛けで運転者を雇用しており、運転者の運転技量を把握するための採用前の実技試験はなく、採用後客を乗せた運行に就かせる前の運転訓練や教育等も殆ど行われず、採用直後から、客を乗せた運転業務に従事させていた。また、新たに雇用した運転者に対して運輸規則で定められた初任運転者教育を行っておらず、適性診断や健康診断についても会社として組織的に運転者に対して受診させてはいなかった上、指導監督指針に基づく運転者に対する指導監督は、全く行われていなかった。
 また、バス事業開始当初は、被告人Bが配車計画を立てていたが、平成26年10月頃からは、主にD2が配車計画を立てて手書きの配車表を作成するようになり、被告人Bは、D2が作成した配車表を見て乗務の重複等がないかを確認し、必要に応じてD2と配車について話し合ったりする程度であった。
 さらに、点呼についても殆ど行われておらず、特に、早朝や夜間に出発あるいは到着する運転者は、無人の事務所に赴き、自分で飲酒検知を行い、運行管理者である被告人Bの点呼を全く受けずに乗務に就きあるいは乗務を終えるということが常態化していたが、被告人Bは、あたかも点呼を実施したかのように装うため、予め運行管理者の判子を押印した点呼簿を作成するなどしていた加えて、運行指示も殆どなされておらず、目的地の地図が添付されただけの運行指示書が作成されることはあったが、実際にどのようなルートで運行するかは運転者の自由裁量に委ねられており、運行管理者である被告人Bから運転5 者に対し、運行経路等について具体的な指示がなされることはなかった。

ウ 本件一般監査後の状況等
 本件一般監査以降も、株式会社Cは、新たな仕事を受注するなど事業を拡大し、大型バスを増車するなどしたが、運行管理体制は改善されなかった。具体的には、運転者にアルコールチェッカーを常時携行させるとか、バス事業に関する書類作成システムを導入して運行指示書を作成し易くし、パソコン入力のできる証人E6に運行指示書の作成業務を担当させるといった簡易な改善は図られたものの、輸送の安全の確保のために重要であるとされており、かつ、監査でも指摘された乗務前後の対面点呼の実施1については一向に改善されなかった。同様に指導監督指針に基づく運転者教育や運転訓練も、監査後に新たに採用した運転者について、採用前の技量確認、採用後の運転訓練や教育等は殆ど行われていなかった。また、初任診断や適齢診断の受診が必要な運転者の大半が、これらの適性診断を受けていなかった。被告人Aは、自らが運行管理者資格を取得する必要があると考え、株式会社C警備事業部課長であったF3とともに、平成27年7月の基礎講習を受講し、運行管理者試験を受験したが不合格であった。(第10回公判被告人A供述調書P83~84、第11回公判被告人B供述調書P56~58、61、甲156、159等)
 そうした状況の中、被告人Bは、本件一般監査の結果による処分の軽減を図るため、監査において指摘された事項に関し、同年10月27日、関東運輸局長宛に、①運転者の健康状態の把握が不適切であったことについては、事務所内に健康診断受診報告書があるにもかかわらず、管理の不手際で所在確認ができず提出できなかった、②点呼の実施等が不適切であったことについて、点呼システムを新しくし、点呼管理業務の充実を図り完25 全な点呼を実施している、③特別な指導(初任)が不適切であったことについては、初任者研修を行ったが教育記録簿の記載を徹底しておらず、再度初任者に対する特別な指導を行った、④適性診断(初任)が不適切であったことについては、従前の勤務会社で適性診断を受診していたが受診票がなかったため、その後取り寄せたなどと、いずれも虚偽の内容を記載した弁明書を作成し、被告人Aが押印して提出した。

 点呼については、同年12月中下旬頃、車庫にトイレが欲しいとの運転者らからの要望を受けて、車庫にプレハブが設置され、点呼場を株式会社Cの本社営業所から同プレハブに移動することとなり、運転者は、本社営業所に立ち寄らず、直接車庫に出勤し、同プレハブにおいて飲酒検知等を行い同所で運行指示書を自ら取って乗務に就くこととなり、早朝や夜間のみならず、昼間の運行であっても点呼は一切行われなくなった。被告人Aは、被告人Bに対し、点呼係として、運行管理者資格を有し運行管理補助者であったF4を車庫のプレハブに常時配置することを提案したが、被告人Bは、F4をマイクロバスの乗務に就かせなければ仕事が回らず、点呼係とする余裕はないと考え、同提案は実現しなかった。


本件、両被告は控訴した模様。

裁判は、まだまだ続きます。

 

『バス業界が去年の判決をどのように受け止めているのかも聞きたいです』

昨日と今日は慰霊碑に訪れる人が多かったようです。

 
NHK news より
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20240115/1010029391.html

どのような話し合いがあったのでしょうか。 

4月からのデジタル化の施策の説明もあったかもしれません・・。

4月からの貸切バスの「ダブルデジタル」義務化ですが、そもそもは当該事件(まさに判決文にあるような)があり、そして一昨年の静岡県の小山町の件があり・・・という流れを考えると、一見厳しいようですが、あらためて当然の流れだと思います。 

 

当時の事故調査報告書です。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/pdf/1641103.pdf
判決文の違反33項目とは この中でも具体的に記載されています。

 

当時、自動点呼や遠隔点呼が解禁されていたら、このC社は、点呼をしっかりやって、あの坂の下りのことを注意していただろうか?