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”ダブルデジタル義務化”の必然。貸切バス「デジタル点呼記録義務✕デジタコ義務」来年4月から、加えて、アルコール検知器告示変更も(画像記録)。パブリックコメント開始。

昨年10月 富士山のふもとで起きた貸切バスの事故を覚えている方は多いと思います。
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000525.html

詳細調査報告はまだ終わってませんが、まずは特別監査の結果が2023年3月に公表されております。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/cgi-bin/details.cgi?row=8527

令和4年10月13日、令和4年10月20日、令和4年11月11日及び令和4年11月18日、死亡事故を引き起こしたことを端緒に特別監査を実施。14件の違反が認められた。

(1)運賃料金変更事前届出違反(道路運送法(以下「運送法」)第9条の2第1項)
(2)運送引受書の記載事項の不備(旅客自動車運送事業運輸規則(以下「運輸規則」)第7条の2第1項)
(3)乗務時間等告示の遵守違反(運輸規則第21条第1項)
(4)点呼の実施等義務違反(運輸規則第24条)
(5)点呼記録の改ざん等(運輸規則第24条第5項)
(6)乗務等の記録の記録事項の不備(運輸規則第25条第2項)
(7)乗務等の記録の改ざん等(運輸規則第25条第2項)
(8)運行指示書の記載事項の不備(運輸規則第28条の2第1項)
(9)乗務員台帳の記載事項等の不備(運輸規則第37条第1項)
(10)運転者に対する指導監督義務違反(運輸規則第38条第1項)
(11)運転者(初任・高齢)に対する特別な指導義務違反(運輸規則第38条第2項)
(12)高齢運転者に対する適性診断受診義務違反(運輸規則第38条第2項)
(13)運行管理者に対する指導監督義務違反(運輸規則第48条の3)
(14)事故の未届出(運送法第29条)

「改ざん」。とりあえず特別監査では改ざんを認識したようですが、どういう実態があったのでしょうか。自動車事故調査報告書ではっきりすると思いますが、今回の規則改正のパブリックコメントを見る限り、かなり悪意のある改ざんがあったのではないかと推察されます。なぜか?

なぜなら、今回のパブリックコメント(運輸規則改正)は、「電磁記録(デジタル)」が強調されているからです。

 

 

デジタル義務化その1) 貸切バス、点呼記録1年→3年へ、かつデジタル保存義務

(1)輸送の安全に係る書面及び記録の保存期間の延長等(運輸規則第7条の2、第24 条、第 25 条、第 26 条及び第 28 条の2関係)
一般貸切旅客自動車運送事業者には、運送引受書、手数料等の額を記載した書類、点呼の記録、業務記録、運行記録計による記録及び運行指示書について1年間の保存義務があるところ、当該保存期間を3年間に延長する。また、点呼の記録については電磁的方法による記録を義務付ける。

 

デジタル義務化その2) 貸切バス、動画点呼記録の3ヶ月保存義務化

(2)動画による点呼記録の保存の義務付け(運輸規則第 24 条関係)
一般貸切旅客自動車運送事業者に対し、動画による点呼記録の3か月間の保存を義務付ける。

 

デジタル義務化その3) 貸切バス デジタコ使用義務化

(3)ディジタル式運行記録計の装着義務付け(運輸規則第 26 条及び運行記録計告示の制定関係)
一般貸切旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運行距離等を運行記録計により記録し、当該記録を保存しなければならないところ、これを道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成 14 年国土交通省告示第 619 号)別添 89「運行記録計の技術基準」第Ⅱ編又は第Ⅲ編の規定によるディジタル式運行記録計により記録及び保存することを義務付ける。

(新車として購入し、令和6年4月以降に、新規登録を受ける車両に限る)

 

デジタル義務化その4) 貸切バス、アルコールチェックの画像記録義務化

(4)アルコール検知器の性能要件の強化(アルコール告示関係)
一般貸切旅客自動車運送事業者が運転者への点呼時に用いるアルコール検知器の性能要件として「運転者がアルコール検知器を使用した際の画像記録を保存する機能」を追加するほか、所要の規定の整備を行う。

1)~4)は、来年4月から施行です。まずは旅客(貸切)からです。

その他(適性診断関係の改正)もあります。

全文はこちら。


 

あらためて、「業種ゆらぎ」「デジタルゆらぎ」について

私見でございますが、最終的にはトラックもタクシーもこうなると思います。

「運行管理の高度化」は、全業種共通のルールで行われるべきだと思うのです。
デジタル化による安全強化・デジタル化による労働生産性向上等は、すべての運輸・運送事業者の課題であると。

はっきり言います。
「デジタルシステムとアナログ仕組みの併用」は、労働生産性を下げます。

事業者側も、何より行政側の労働生産性も。

そして、点呼システムメーカー側も、デジタコメーカー側も、「デジタルシステムとアナログシステムの仕組みの併用」は、開発コストがかさみ、結果、価格や維持費も影響が出ます。

お客様は、いざというときのために(?)、「とりあえず」どっちもできるようにしてほしい、と言うでしょう。

「貸切バス 義務化対応機能」とか「アナログ併用機能」とか、「動画無し機能」とか「動画あり機能」とか、必要ですか?

いずれにせよ、いまやデジタコ・デジタル点呼(遠隔点呼・自動点呼)が運行管理の中心であり、近い将来「運行管理センター」(一元化)が普通になりましょうから、当然のナガレだと思われます。

事故調査委員会の報告書、気になりますね。これだけの改正を促した内容が報告されるかもしれません。