大型乗合バス、子ども死亡事故2件、そっくりな事故の共通点は「左側」。
先日6月30日、事業用自動車の事故調査委員会の報告書が3件公表されました。
以下はそのうちの1件、大型乗合バスが運転中に、子どもに衝突し死亡させてしまった事故です。
類型としてかなり似ているため、一冊の報告書に2件の事故の調査結果が報告されています。
概要
[事故Ⅰ]
令和2年4月 19 日 14 時 58 分頃、東京都新宿区の都道 319 号線の十字路交差点(変則)において、乗合バスが乗客5名を乗せて青信号に従い右折する際、横断歩道上を車両左側から横断していた幼児をはねた。この事故により、幼児が死亡した。
[事故Ⅱ]
令和2年7月 24 日 16 時 25 分頃、神奈川県横浜市都筑区の市道の丁字路交差点において、乗合バスが乗客6名を乗せて青信号に従い右折する際、横断歩道上を車両左側から自転車で横断していた児童をはねた。
この事故により、児童が死亡した。
事業者が「交差点での右左折時には一時停止する」ことを運転者に指導・教育し、運転者自身もそう心掛けていたにもかかわらず
詳細調査・分析の結果、原因は以下にて総括されておりました。
事故Ⅰにあっては、運転者が事故地点のある交差点に進入した際、正面歩道上を横断歩道に向かって進行している被害者を認知していたにもかかわらず、被害者が横断歩道上に進入するおそれを予測できていなかったこと、また、事故Ⅱにあっては、運転者が事故地点のある交差点に進入した際、正面歩道上を横断歩道に向かって進行している被害者をそもそも認知しておらず、横断歩道上に進入するおそれを予測していなかったこと、さらに、事故Ⅰ、事故Ⅱとも、横断歩道手前において、横断歩道上を車両右側から進行してくる歩行者及び自転車(以下「歩行者等」という。)に運転者の注意が偏り、横断歩道上に車両左側から進入しようとしている被害者を認知できていなかったことが原因と考えられる。
横断歩道手前において、横断歩道上を車両右側から進行してくる歩行者等に運転者の注意が偏っていたことについては、事故Ⅰ、事故Ⅱとも、過去の運転経験の積み重ねが関係したと考えられる。
横断歩道上に車両左側から進入しようとしている被害者を認知できていなかったことについては、横断歩道上を車両右側から進行してくる歩行者等に運転者の注意が偏っていたことに加え、事故Ⅰ、事故Ⅱとも、横断歩道手前において、横断歩道上の車両左右に歩行者等がいないかの確認を確実に行うことができるよう、事業者が「交差点での右左折時には一時停止する」ことを運転者に指導・教育し、運転者自身もそう心掛けていたにもかかわらず、事故Ⅰにあっては、運転者が通行し慣れている交差点であり、その運転経験の積み重ねから、一時停止しなくても通行できる交差点であるとの思い込みが生じて一時停止することが次第におざなりになり、横断歩道上を車両右側から進行してくる歩行者より先に横断歩道を通過しようと急いだこと、事故Ⅱにあっては、一時停止操作の繰り返しからブレーキペダルの踏み方が次第に甘くなり、減速が不十分で一時停止に至っていなかったことが関係したと考えられる。
再発防止。
6.1.1.1 横断歩道の周辺における歩行者等の確認の徹底
6.1.1.2 右左折時における横断歩道手前での一時停止の徹底
6.1.1.3 きめ細かな指導・教育の徹底
6.1.2 本事案の他事業者への水平展開
6.2 事業者と関係機関が連携した運行路線の安全対策
徹底はやるとして・・・。
車両への安全装備も提示されています。
6.3.1 予防安全対策装置の開発・普及
現在、衝突被害軽減ブレーキの新車への搭載が普及してきているが、自動車メーカー、機器メーカー及び国土交通省の関係者においては、次なる段階として、バス等が右左折して横断歩道を通過しようとするときに、車両の斜め前後方向に横断歩道上を進行してくる体格が小さい児童、幼児等を含む歩行者等を検知して警報を発し、衝突による被害を軽減する衝突被害軽減ブレーキの開発・普及に取り組むことが望まれる。
側方衝突警報装置は、バスには要らない?
自動ブレーキ的な動きはしませんが、左方にいるひとを検知し警告するような仕組みは貨物自動車で義務化されています。
すでに保安基準が定められています。
令和5年、ASV補助金
側方衝突装置は保安基準で定められたため、本年度の助成対象機器にもなっているようです。
事故件数的には圧倒的に大型トラックの交差点事故のほうが多いのですが、バスも大型であれば必要なのかもしれません。バスにも装着できそうです。すでに導入なぜ導入がまさか、音がピーピーなると乗客にはうるさいとか・・?
いずれにせよ、大型車両は死角が多く、ドライバーを支援する「もうひとつの目」は必要であると思います。